島口説(しまくどぅち) 公演情報 島口説(しまくどぅち)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    1979年、沖縄本土復帰から7年、ここは民謡酒場「スミ子−の店」。山城スミ子(城間やよいさん)と元バスガイドの新人(知花小百合さん)が団体客の応対をしている。(今作では山城スミ子本人の役ではない可能性もある)。遅れてやって来る平良大氏が三線を奏でる。
    比嘉恒敏の曲、「艦砲ぬ喰ぇー残さー(かんぽーぬくぇーぬくさー)」=艦砲射撃の喰い残し、が印象的に唄われる。「死に損なった猪が我が子を想うが如く、こんな目に遭うのは二度と御免だ、と夜も眠れぬ日もある」
    今沖縄で生きている自分達はあの時の死に損ないに過ぎないとの境地。

    知花小百合さんは吉村実子っぽい。本職は舞踊家なのにお笑い芸人のように達者。
    城間やよいさんは野々村友紀子っぽい。やはりプロのお笑い芸人だった。喋りが素人ではない。
    もう開幕から漫才のようだった。客を弄りながら自然に喋っているようで、実は完璧に構築された世界。伝統芸能の域。ここまでACO沖縄はレヴェルが高いのか。凄い作品。『この世界の片隅に』のような語り口と今村昌平作品をガッチリ観た時のような濃密な空間。笑わせて泣かせて一人の女性の人生を丸ごと味わわせる。ここまでやれるのか。

    1979年北島角子さんの一人舞台として初演、300回を超える公演に。2018年、沖縄のローカルお笑いコンビ「泉&やよい」主演の二人芝居に脚色してACO沖縄で再演。2019年からは知花小百合さんと城間やよいさんのコンビになった。
    かつてはこれを一人でやったのか?そりゃ観てみたい。今回の脚色も素晴らしく、二人の掛け合い、役の交換、先輩と新人の関係性などよく練られている。
    「艦砲ぬ喰ぇー残さー」こそ、生きて戦争の証にならなければ!沖縄についてかなり深く感じ取れた。必死に純粋に生きて全ては自然のままに。それは政治運動でも思想でも何でもない。全ては自然に。

    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    第一幕は知花小百合さん演ずる戦後の山城スミ子物語。ある日、アシバー(遊び人)だった父が青年・朝栄を連れて帰って来る。「これがお前の旦那だ」とその日の内に祝言をあげさせられる。宮城島(?)から朝栄と二人で平安座島(へんざじま)へと歩いて渡る情景が美しい。鯨の解体、舟の模型。

    第二幕は城間やよいさん演ずる山城スミ子の父親の物語。戦後は瀬長亀次郎(アメリカ統治下で徹底して反米を貫いた政治家、沖縄の英雄)について回ったり、陸軍中野学校から来て戦時中に息子が死ぬ切っ掛けを作ったアサノ(?)を追い回したり。

    1970年12月20日に起きたコザ暴動。5000人以上の島民が暴れ、軍関係の車両82台が焼き払われた。父親とその場に立っていた山城スミ子は群衆の中に学生時代の親友を目撃する。

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