満足度★★★
忍耐がいる
太田さんの沈黙劇というのを映像以外で観たのは初めて。
舞踏やダンス、能楽よりも難解だと思った。
今回の演出は、舞台上に描かれるのが「生者の営み」であり、「性」も強く感じられた。
沈黙劇は慣れていないせいか、観ていて忍耐力がいるし、とても緊張し、翌日は疲れが一挙に出て、寝込んでしまった。
やはり同じアジアの韓国のかたの演出であるせいか、感覚的には受け入れやすい印象であった。
満足度★★★★★
雄弁な沈黙
昨年の「リア」の演出がすばらしかったので、今回も駆けつけました。
とにかく美しい舞台です。円形の砂の舞台で、さまざまな恋人たちが年輪を重ねながら、足跡と思い出を舞台に刻んでいく。そして人々が過ぎ去った後に、彼らが生きた場所、世界、地球、宇宙が残っていく壮大な人間ドラマです。
観客には想像力と集中力が求められます。そして見えてくる無言の伏線。その上で見るこの無言劇は「極上」としかいいようがありません。
満足度★★
砂の上での出会い・別れ
台詞が一切無く、音楽もわずかで動きもゆっくりという静けさの支配する中で、少々エロティシズムを感じさせながら色々な男と女の出会いと別れが描かれた作品でした。円形の砂の中で無関係な人達がすれ違ったり、ちょっと佇んだ後にそれぞれの方向に進んでいったりと、タイトルにある「駅」を感じさせる時間でした。
手前に砂が敷き詰められた大きな円形の舞台、奥は3m程高くなった真っ黒な舞台、そして中央に階段というセットの砂の部分を主に用いて、若い男女のシーンから次第に年老いた男女のシーンへと移行し、生涯を通じての男女関係が静かに綴られていました。
老夫婦2人が地面に座り込み、妻がブラジャーを取り蝶々の様に操り、夫がぼーっと見ているシーンが暖かみがあって印象に残りました。
ラストでは全員が黒い服で現れて葬式を思わせ、作品全体が走馬灯の様なものに思えました。黒い服を着た女性が常に奥の方に佇んでいるの印象的でしたが、どのような意味を表しているのかが解りませんでした。
序盤、中盤、ラストに舞台上に出てくる小道具が小さくて、何なのかが分からず残念でした。小道具だけでなく、抑制されたわずかな動きの演技も世田谷パブリックのサイズでは客席に伝わらず、演出が会場に適していないと思いました。
音楽が叙情的過ぎで、同じ曲が何回も流れるので、安っぽいテレビドラマみたいになってしまうのが残念でした。特にラストの音楽はセンスが感じられませんでした。また、せっかく韓国のベテラン役者達が参加しているのに、その声や台詞回しを全く聞けないのは勿体ないと思いました。
昼食後に観た為、睡魔に襲われて色々と見落としてしまった所がありそうなので、意識が冴えているときに観るべき作品だと思いました。