満足度★★★★
【新作『夏の夜の夢』シェイクスピア原作」】新作への取組は評価したいが…
後半は新作で、シェークスピア「夏の夜の夢」の翻案物。
冒頭は、深い森の中の岩の上に女神が立ち、
そこに日が射し、靄の中で光が線のように見え、
まるで、古事記神話の一場面を思わせるような素晴らしい光景!
そして、話は進んでいくが、基本的に台詞が無く、舞踊だけ。
例外的に、ロバに変えられた男だけは、時に台詞を発する…。
まるで、「和風バレエ」といった趣。
私的には、こちらもまあそこそこ良いかな?という印象。
若干不満があるとすれば、「夏の夜の夢」って、やっぱり台詞回しが、
とっても面白いんじゃあないでしょうか?
パック役がローラースケートで登場したり、色々工夫はされているものの、
舞踊のみだと、何となくぼんやりしていて、突っ込みの鋭さが
感じられないのは、致し方無いものの残念な気がする。
(もっとも、観たことはないが「バレエ」化もされていると聞いてますが)
なお、音楽は基本的に和楽器(右:筝、三味線、尺八?、
左:鉦などの鳴り物)を使用し、多少洋楽器(左:ドラムス?)も
使用した演奏で、バルコニーのような2階席の左右に分かれて
配置されている。指揮者も和服姿で、右側にいて、
時々左側を振り返って指示を出していた様子。
(なお、私は向かって左側の席だったので、2回左側は良く見えない。)
音楽自体は、この日のためのオリジナルと思うが、
西洋音楽の音階やリズムが基本であり、西洋音楽を邦楽器で演奏している、
という感じ。
時に、そんなにうるさく演奏しないでも良いのに、という場面で、鳴り物が結構にぎやかに奏される…あたかも祭囃子のように
…ここはもっと考えられてよいのでは?
そんなわけで、こちらも日舞的見地というより、
独断偏見的(いつもですが)演劇的見地から4Pとしました。
満足度★★★★
【「古典『勝三郎連獅子』】慣れない日舞鑑賞でしたが…
何と日本舞踊!
普段のこりっちでは小劇場演目が多いので、異色の演目。
受付には和服姿のお嬢様…ここで普段なら「こりっちで予約(招待)の…」
と言うところを、思わず「こりっち『という』サイトで…」
と言ってしまった(苦笑)
この日は2演目で、前半は古典物
「親獅子は子獅子を谷底に突き落として、這い上がってきた子だけ育てる」という伝説に由来するもの。
正直申して、日本舞踊自体は初見ではないが、しかし極めて鑑賞回数は少ない。しかも、日本の伝統芸能の中でも、落語>文楽>能・狂言>歌舞伎>邦楽(長唄・清元…)>日本舞踊、という具合で
そんなわけで、日舞について、レビューを書く資格などは全く持ち合わせていないものの、無責任を承知で書かせて頂ければ…
まあ、ざっくばらんに行って、お正月の獅子舞の獅子を小さくしたやつが、
紅白(縁起物?)2体あって、2人の演者が、
これを使ったり使わなかったりして舞っていく。
また、音楽は生演奏で、いわゆる「邦楽」である。
なんか、歌舞伎、相撲、寄席などと共通する
「湯上りのような良い気分」感があって、中々良い!
それに、黒子の方が、例えば蝶々(棒が付いていて操るやつ)
を舞わせたり、日舞も結構サービス精神旺盛なのだな、と思った。
話は前後してしまったが、蝶々の登場する場面は、
中間部のゆっくりした部分で、ここを挟んで速い音楽の部分があり、
概ね、急~緩~急の構成。
それで、なにしろ藝大の日本舞踊科の若手卒業生であるだけに、
私が観ても、しっかりした舞踊だと思うし、まずまず面白いと思った。
ただまあ、歌舞伎・演劇評論家の渡辺保氏が、
「名手の日本舞踊を観て、超越的なこの世ならぬものを観た思いをした…」
というような話を大分前だが聞いたことがあって、
さすがにそこまでのレベルではないと思うので、
こちらについては4Pということにしました…。