実演鑑賞
満足度★★★★★
#チーム
どうしても栗原沙也加さんが観たくて劇場へ。
下北沢の小劇場でのミュージカルとは、なかなかにスリリング。あの距離で聴くそれは、マイクで拾ってアンプで増幅させる訳にはいかない生歌であり、誤魔化しようがない。狭い舞台の中で、それでも少しのダンスも披露。シューマンの妻クララを軸に、有名作曲家たちが、織りなす愛憎劇はなかなかに見応えがあった。
目当ての栗原沙也加さんはエルネスティネ、ある意味恋敵の役どころ。どんな作品においても、そのポジションは美しさが必須。その点でも百点満点のキャスティング。可愛らしい人が、美しさの比重を上げて見事に恋敵を立ち上げた。そこに哀愁まで纏ってみせるのだからお手上げ。客席はみんな彼女の虜。その上、歌が甘くもあり切なくもあり、時に軽やかに聴かせてくれるのだから堪らない。
主役クララを演じた田中海咲さんも、キュートで魅力的だった。
有楽町の大劇場で味わうミュージカルに匹敵する醍醐味と、手の届きそうな小さな劇場だからこその臨場感と独特の空間を楽しむことができる秀作だった。
願わくは、靴にまで気を配って欲しかった。小さな劇場だからこそ見えることかもしれない。とても歌が上手だった彼の靴が、残念なことに傷んで横が破れていては興醒めする。予算の問題もあってキャスト任せなのだろうけれど、そこにも気を遣って欲しかったなぁ。