実演鑑賞
満足度★★★★
二度目のここ風。それでも「らしい」芝居だ、と思えるのは、前回観た記憶に引っかかる特徴と、符合する所があるからだろう。関西弁ががっつり登場するのは一つの特徴になる。人情物である事、家族の泣かせる話がある事、など。「確かあれだったっけ」と記憶と資料のページをめくるとタイトルは「チョビ」、幽霊だった、に帰着する「よくある」人情劇(涙の誘発の仕方も古典的)だが構造に工夫があってドライさが勝っていて、後味が良かった。
今回、途中が抜けた(例によって入眠によって)。台本を後で読み返すと、やはり抜けていた。やはり観た感じより、読めば完成度がある。
今回は幽霊でなく、回想が挟まれる構造の劇。三代前が開業して今は休業中だった山村の旅館を再開する前、特別価格のプレ営業に訪れた客四組(五名)と旅館サイドの人間(四名)による、旅館家族の秘密が明かして行く物語。
パズルのピースをはめ込むような脳内作業は大変で、眠気に勝てなくなった。
三代前の回想シーンがあり、二代目たちは不登場。台詞で語られる証言で事実を構成する。
実演鑑賞
満足度★★★★★
毎回、観に来ててよかったと思わせてくれるここ風の舞台。今回もセットがよく、上手の窓ガラスの汚れ具合なんかも絶妙。序盤というか、最初の暗転までは正直ちょっと物足りなさも感じていたのだが、帰宅してから思い返してみると、もう一回観ると印象が変わりそうな気が。
実演鑑賞
満足度★★★★
よく練られた脚本、感心する。笑いは薄いが桜の花びらが音もなく降り続けるその美しさ、一人のいなくなってしまった女性の面影をずっと追い掛けていく物語だ。台本執筆中に作・演出の霧島ロック氏の母堂が亡くなったという。それを知って腑に落ちた。奏でられるのはレクイエム。胸いっぱいの鎮魂歌。
看板女優の天野弘愛さんの魅力を作家は知り尽くしている。
『泣き顔でsmile 擦り切れてshine 踊るならrain
ピント外れの我儘Juliet』
(今ではダサい歌詞にしか聞こえないが何周も周るときっと好きになる)。
群馬の暴走族だった氷室京介はミュージシャンで成功しようと上京する。そんな氷室を追って来た女が美容師になって食わせてくれた。ままごとみたいな同棲生活、甘え切った日々。ある日、女は他に男を作って別れを告げる。氷室京介のラブソングはほぼその女への歌ばかりだ。自分のものにとても収まらない女、だけど自分のものだった女。
天野弘愛さんの演じるさくらはまさしくそんな女。どうしようもなく悲しい場面で満面の笑みを見せてくれる。
天野弘愛さんは8月に和歌山県の熊野本宮大社で『おぐりとてるて』のてるて姫をやるという。気になる。
香月健志氏はかなり痩せていた。最新型のオシャレ番長。
吉岡大輔氏のキャラは非常に重要なスパイス。いい味を足してくれる。ひたすらトイレ。
はぎこさんは橋爪未萠里っぽい強キャラ。
星出紗希奈さんは中舘早紀っぽい。
是非観に行って頂きたい。