実演鑑賞
旗揚げ時より福田善之との所縁の劇団との認識あり、うずめ劇場との関わり(客演した姿は見た)等と関心はあったものの今回ようやく初観劇となる。
ほぼ初日であったせいか、俳優の演技がえらく気になった。大声が出ているが、虚しい。まず語り部的な存在が冒頭客をいじった俳優の挙動(の不審)が気になった。素になるなら余程の覚悟をもってやるべきを中途半端にやりやがって・・と終演後どやしつけてやろうか、位の憤りが湧いた。またステロタイプな明治の志士の物言い(二本差しで背筋を伸ばし、前方やや上を見据えて虚勢張って声も張るやつ)も気になった。もっとみっともなく悩んでる姿を観客には見せていいんでござんせんか?彼ら(登場人物ら)は家の外では虚勢張って生きていたんでしょうが、観客に対してそれをやってどうすんの?と素朴な疑問。
福田善之のなんと「書下ろし」で、井村昂氏は補佐的に控える役目だったとか。飲み込みやすいドラマとは言えない。直後に観た椿組の舞台がちょうど時代的に重なり、その庶民感覚に溜飲を下げたものだが、こちらは頭でっかちな士族のよく分からない高尚な?悩みをちまちまやってる感がある。日本の近代小説=私小説のちまちまな感じの、原点でもあろうか?
演出には力を入れている。主役をやって演出もやってる事がそもそも無理難題なのでは・・と思わなくなかったが、福田氏との関係においてはそうなるようである。正直戯曲なのか演技なのか何かぎくしゃく感を否めなかったが、作り手の(というか演出の)気概は受け取った。この観劇後感、次も観そうである。