東京ローズ 公演情報 東京ローズ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    本の粗が目立つ。人物を交代していく形式は斬新である。

  • 実演鑑賞

    満足度

    こういうことはやってはならないことだと思う。
    海外の演劇祭に出かけて行って、トライアウト中の日本素材の舞台をチラと見て日本で買って上演してしまう。完成してからでもいいではないか、仁義に反することだと思う。それを国立の劇場が?恥ずかしくないのか。これで協力していると考え違いをしている。
    脚本は英米で散々作られてきた30年代から50年代にかけての、第二次大戦をめぐる国家と個人の葛藤がテーマである。戦時中偶然の機会でラジオトーキョーの海外短波宣伝放送のアナウンサーになり、東京ローズとして戦争アイドルになり、戦後は国家反逆罪に問われた不幸な女性の半世紀である。アメリカには赤狩りの歴史があり、イギリスには戦時中のスパイで問われた思想家たちがいる。(もちろん日本にもいるが、内容が違う)
    英米とは国家への忠誠心の質も内容も違うので、脚本も日本人にわからせようとはしていない。アメリカの国家への反逆が問われるに至った半世紀の長い物語である。それは全くと言っていいほど日本の事情は違う。わかりにくいところを無理やり、日本の事情を押し込んで、日本人の物語にしてまとめてしまう(最後の三十分)のは、全く理解に苦しむ。
    さらに言えば、主人公を6人の俳優で次々と演じていくのも意味がわからないし、どう見ても無理なシーンが多いのに無理やりフィメールキャストでやる意味も分からない。舞台を見れば、まるで俳優が乗っていないのが見える。
    そもそもこのテーマをミュージカルでやる意味もわからない。確かにこのような素材を最近はミュージカルでも取り上げるが、この舞台では楽曲もおおむね平凡で、これならストレートプレイで正面からやればいいのに、と思う。いい女優も出番が終わるとさっさと、お役御免という退場をしていく。
    この素材は興味を引く素材で、日本でも海外でもかつて、何度も演劇・映画製作者が手を付けて挫折している。完結できたのはテレビのドキュメンタリー・ドラマ風のものだけではないか。すでにドウス昌代の優れたノンフィクション本以来50年、その後の裁判記録も公開されている。難しい素材に暢気に無手勝流で臨んで、やったつもりになっただけ。
    その辺はよく客席も知っていて、いつものように半分も売れなかったのだろう、見た回は半分から後は、都内の演劇学校生徒の団体ががやがやと入っていた。



  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    アイバ・郁子・トグリは、戦争中、米軍向け「戦意喪失」放送でDJをつとめたアメリカ生まれの日系二世。UCLAを卒業し、医学部の大学院への進学が決まっていたという、当時としては超がつく才媛である。ちょうど叔母の見舞いのために日本に来ていて、日米開戦で帰国できなくなった。戦争中も特高の圧迫に抵抗してアメリカ市民権を手放さなかったのに、それが災いして、戦後米国で国家反逆罪に問われ、禁固10年、市民権はく奪の判決を受ける。なんという悲劇、なんという不条理。この人生だけでも最高のドラマの素材だ。

    米穀からの来日、叔母の家、帰国失敗、同盟通信勤め、ラジオ東京勤めときて、戦後はDJ「東京ローズ」を探す米週刊誌記者の誘いに乗って、2000ドル(3万円=日本円で3年分の給料)という報酬と引き換えに「自分は東京ローズ」という契約書にサインし、インタビューを受ける。記事でも、そして裁判でも「真実はわかってもらえる」という甘い考えが裏目に出て、米国の裏切り者探しのスケープゴートにされてしまう。

    6人の女優たちの芝居。主人公のアイバを、6人がバトンリレーのようにして交代で演じる。シルビア・グラブの演技がぴピカイチである。ドラマの一番のかなめである戦後、「東京ローズ」とみなされ、米国で有罪判決を受け、刑期短縮で6年で出所するまでを担っている。孤立無援のたたかいを歌う「クロスファイヤー」の重苦しいうめきのような歌も迫力があった。
    70年代になって、全米日系人協会が支援を決め、フォード大統領の恩赦が出る。どん底からの逆転勝利の喜びは、歌も大いに盛り上がり、涙が出た。

    他の女優は名前は知らないが、パンフを見ると、私が見た舞台にも出ている人が多い。いわば隠れた実力派ぞろい。叔母を演じた飯野めぐみが、拘留中のアイバに面会に来た時の歌がよかった。弁護士コリンズと最後のアイバを演じた森加織も、苦しくてもあきらめない正義派の感じがよく出ていた。最初のアイバと、平ラジオ局員を演じた山本咲希は小柄なのが目立ったが、まだ現役の学生とは驚いた。
    2時間半、休憩15分込み

    ネタバレBOX

    舞台の感想を書こうとして、どうしても概説的なことが先に立ってしまう。ここにこの芝居の難しさがある。救いは全編ミュージカルになっていること。出来事の説明の場面が続くので、音楽がなければトグリ人生のエトキのような芝居になっただろう(民藝、俳優座、文学座など老舗劇団でもこういう芝居はあった)。

    先日の青年座「同盟通信」(作・古川健)で、アメリカに帰国できなくなった女性タイピストが出ていた。あれがアイバ・トグリか!と、予想もしなかった二つの芝居のつながりに驚いた。(アイバのほかにも、同じ境遇の二世の女性はいたのかもしれないが)
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ほぼ全編歌が入るとは思わなかった。主人公を演ずる俳優が次々交代するのはちょっと面白い。

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