七ツ寺プロデュース第16弾
七ツ寺プロデュース第16弾
実演鑑賞
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日) 公演終了
上演時間:
公式サイト:
http://nanatsudera.org/
期間 | 2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日) |
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劇場 | 七ツ寺共同スタジオ |
出演 | 後藤好子(俳優館)、澤村一間(よこしまブロッコリー)、中田裕子(俳優館)、ゆみだてさとこ(ゆめみトランク)、森衣里、石原愛子、加東サユミ(CaRuta/カレイドスコープ)、岸★正龍(猫足ウィローズ)、上田勇介(電光石火一発座)、櫻井春菜子(体現帝国)、真臼ねづみ(劇団「放電家族」)、笹岡豪、滝沢瑣吉 |
脚本 | |
演出 | 鳴海康平(第七劇場・演出家) |
料金(1枚あたり) |
3,000円 ~ 1,800円 【発売日】 一 般 前売 2,800円 当日3,000円 大学生 前売 2,300円 当日2,500円 高校生以下 1,800円(前売・当日共) |
公式/劇場サイト | ※正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。 |
タイムテーブル | |
説明 | 【演出家からの言葉】 そのテキストの中には、ひどくプライベートな願いや祈りが、悲しげに過去を振り返るわけでもなく、明るく未来を照らし出すこともなく、そこに留まっている。 それは私の命を支えるようなあたたかさを抱いていない。私の体中に刻まれた無数の傷を癒してくれるどころか、それのおかげでちくちく痛むほどでもある。 そこにある願いや祈りは、それ自体が私であり、生きることそのものとしかいいようがないのである。 それはじっと静かにたたずんでいる。たとえばスパゲッティを茹でているときに電話が鳴るときや、山小屋でひとりになったことを知ったときや、馴染みのバーでウィスキーをゆっくりと飲んでいるとき、ほんの一瞬、視界の隅で出会うことができる。そんなとき彼女はいつも片方の耳をこちらに向けて、あるときは窓の外と、あるときは草原の向こう側と、あるときはグラスに残っているロックアイスと、まるでそれが自分の身体の一部であるように向かい合っている。だからほとんどの場合は彼女の横顔を、それも一瞬しか、私は記憶することができない。 彼女を見かけたとき私は、スパゲッティを茹でているときに電話に出なくてはいけなかったりするため、彼女のことを思い出すのは、缶ビールを飲みながらスパゲッティを食べ終えて、2缶目のビールを半分くらいまで飲み進めているときである。そこでようやく私は彼女がそこにいたことにゆっくりと気がついていく。まるで田舎のかつて砂浜だったところにできたコンクリートの防波堤をずっと遠くまで歩いていくように。そしてかつての砂浜で燃やした炎を見つめながら思い出した彼女の存在は、8月の日差しと防波堤からの照り返しでじっとりと吹き出してくる汗に似て、疑う余地がないように思えてくるし、自分が不確かなものでしかないように確信しはじめる。ある日いつも家に来ていた猫がしばらく来なくなったことに気がついたときと同じように、この世界の異物である自分を理解してしまう。今にもその横顔を忘れてしまいそうな彼女こそが世界であり、生きることそのものなのである。 それでも、翌朝熱いシャワーを浴びて、夜になってバーでウィスキーを飲み始めた頃には、彼女のことなどすっかり忘れてしまう。世界とはその程度のものだし、それくらい確かなものである。 彼女を描こうとは思わない。触れたいとも思わない。ただ彼女がそこに確かにいたことを思い出してみたいと思う。 そう、いなくなった猫が帰ってくるのを、それとなく待つように。 鳴海康平(第七劇場・演出家) ---------- 鳴海康平 NARUMI Kouhei 第七劇場主宰、演出家。1979 年北海道紋別市生まれ。東京在住。 早稲田大学在籍中の1999 年に劇団を創設。戯曲のテキストから人間の普遍性を抽出し、時代や国を問わず人間が抱える 豊かさと孤独を示す演出や、日本の伝統芸能の持つ力強さとコンテンポラリーな身体性が共存するパフォーマンス、場所 の特徴を活かす美しい空間構成で国内外において高い評価を得る。 演出以外にも、フェスティバルディレクターやアドバイザー、石川県・愛知県でのワークショップ、三重県・岡山県にて 中高校生対象のワークショップ、神奈川の小学校での演劇創作、早稲田大学や千葉県愛国女子短期大学に特別講師として 招かれるなどの、教育・育成活動も行う。 財団法人舞台芸術財団演劇人会議会員。日本演劇千年計画実行委員。SENTIVAL! フェスティバルディレクター。 芸術文化活動支援員(文化庁・2010 年度 芸術文化活動支援員派遣事業/天神山文化プラザ)。 2008 年9 月、「ワールドツアー2008-2009」として、七ツ寺共同スタジオにて、鶴屋南北原作『新装 四谷怪談』、 2010 年2 月、千種セレクション招待公演として、千種文化小劇場にてチェーホフ原作『かもめ』を上演。 『かもめ』は2010 年12 月には三重県文化会館「Mゲキセレクション」オープニング作品に選ばれ、同劇場にて上演された。 http://dainanagekijo.org/ |
その他注意事項 | 【公演終了後に演出家によるアフタートークを行います】 30日(土)19:30 ★ゲスト:墨谷渉氏 (作家) 1972年愛知生まれ。2007年すばる文学賞受賞、2009年芥川賞候補。 31日(日)14:00 ☆ゲスト:唐津絵理(愛知県芸術文化センター主任学芸員) |
スタッフ | 照 明 則武鶴代 音 響 尾関崇之(劇団EARTH) 舞台監督 柴田頼克(劇団電光石火一発座) 写真撮影 構久夫 宣伝美術 早野篤子(Sei Creators) 演出助手 坪井菜摘(劇団さる) 制 作 今井絢子 主 催 七ツ寺企画 |
そのテキストの中には、ひどくプライベートな願いや祈りが、悲しげに過去を振り返るわけでもなく、明るく未来を照らし出すこともなく、そこに留まっている。
それは私の命を支えるようなあたたかさを抱いていない。私の体中に刻まれた無数の傷を癒してくれるどころか、それのおかげで...
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