満足度★★★
旧世界のままで終わる物語
新古書販売のチェーン店に取材した、中年の店長と心が壊れた奥さん、新人だがやはり中年でちょっとイケメンの男、うるさい熊本弁おばさん、バツイチ子持ちで学のない女と、その元夫で「せどり屋」の男、コミュニケーション不全の青年、美貌の声楽の先生ら、一風変わった人間たちが織りなす群像劇。
になるはずが、核になるドラマが弱く、一人一人のキャラクターの魅力も描き切れてはいない。軽妙な会話のやり取りや、個々人の部分的な描写には鋭い切り口を見せる面もあるが、全体としての印象は盛り上がりに欠け、あのエピソードもこのエピソードも、消化不良な形で終わってしまっている。演劇の持つ「限定性」をうまく活用しきれなかったことが失敗の原因だろう。
とは言え、俳優のアンサンブルには目をみはらされた点も少なくなく、何人かの俳優の間の取り方の巧さには、訓練だけでは習得しきれない天性の勘のよさすら感じさせられた。物語として、声楽を物語に取り込む必然性は実はあまりないのだが、かと言って邪魔になっているわけでもない。ドラマの弱さを、声楽の練習を通して癒されていく登場人物たちの伸びやかな声と笑顔が補強している。
満足度★★★★
迷えばいいのだ。
これでいいのかな?
もっと我慢したほうがいいのかな?
我慢…しなくちゃ、いけないのかな?
自分の「今」に迷ってるとき、答えを求めるのが人情だけど
もうちょっと、迷っても、まだまだ、間にあうさ。
大丈夫。
そんな風に、優しく抱きしめられた空間だった。
「我慢」を「努力」に代えてもいいっす。