「知恵と希望と極悪キノコ」 公演情報 「知恵と希望と極悪キノコ」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★

    楽しかった
    単純に面白いだけでは終わらせないヒネリがあり、楽しめました。

  • 満足度★★★★★

    さすがLIVES! 面白い。
    「情感」があって笑いも豊富。
    市井に生きる普通の人々の希望や哀感がある。
    笑いが多く、楽しい舞台。

    ダブルコールぐらいの拍手があった。

    ネタバレBOX

    仮面ライダー・イナズマ映画版の撮影初日。
    キノコ怪人が作り上げたキノコ戦闘員役に、役者が集まってくる。

    役者としてキャリアはあるが、映画が初めてだったり、定年後シルバー劇団に入り、演技自体が初めてな、“売れない”役者たちが控え室に集まって来る。
    また、仮面ライダーの中に入り、顔を出すことのない経験豊富な役者、映画に出るのは20年ぶりのアイドル、ジャンケンだけでアイドルになったGKP(ジャンケンポンの略・笑)のメンバー、昼ドラの売れっ子女優に、彼女の尻に敷かれている脚本家、プロデューサーに監督、スタッフなどなど、大人数が登場し、映画の初日が始まる。
    しかし、音声のスタッフが来られなくなったり、雨が降ってきて撮影も危ぶまれたりする。

    戦闘員役の役者たちは、緊張しているものの、真剣さはがあまりないように見えた。そんな中に1人ピリピリしている、売れたいと強く願う男の熱い言葉に動かされ、また、ライダーの中に入っている役者の後押しもあり、やる気を出そうとする。

    彼らは、台詞がほとんどなかったり、全然ないのだが、自分たちのシーンをきちんし解釈をして、自分たちが出演したという、爪痕を残したいと思うのだった。
    中には、これで役者を辞めて故郷に帰ろうとする者もいて、その思いは強い。

    しかし、彼らの脚本の解釈はどこかズレていたり、緊張で台詞がきちんとしゃべれなかったりする。
    監督は、そのシーンをすべてカットすることに決める。

    戦闘員役の俳優たちは、それをなんとか考え直してほしいと思い、あれこれと策を巡らすのだった。

    そんなストーリー。

    LIVESらしい、いるいる感の強いオジサンたちがとてもいいのだ。
    彼らを含め、市井に生きる普通の人々の希望や哀感がある。
    「役者」が主人公の舞台であり、笑いにしていたが、身につまされることもあるのではないかと思った。
    かつて、そうであった自分たちを演じていたのかもしれない。

    大人数の舞台なのだが、どのキャラクターもきちんと見えてくる。
    つまり、それぞれへのスポットの当て方がよく、短い台詞でもきちんと印象が残るようにできているのだ。

    説明がいちいち再現されるのは、少々丁寧さを通り越してしまうのだが、それをまた笑いに結びつけるのがうまい。

    役者を辞める男の最後の台詞は、仮面ライダーの戦闘員の台詞なのにもかかわらず、ぐっと来てしまった。渾身の台詞を、本当に役者が渾身の台詞としていたことに感動した。

    また、劇中に歌われる、アイドルグループと元アイドルの歌は、かけ声や振り付け、歌の外し方までが、とてもよくできており、本当に面白い。『ROPPONGI NIGHTS』を彷彿させる、やけにうまい男性コーラスがちらりとだけ聞けるというのも憎い。

    笑いに関しては、普通1つネタについては、引っ張るだけ引っ張る(もういいよ、と思うまで)劇団が多い中で、さらっと流していく。
    例えば、プロダクションの社長がセーラー服に着替えてきても、それで無理矢理笑いを取りにいったりしないし、アイドルグループの3人目の女の子(?)についても、いじり方は軽い。なんと言うか、年季の違いだろう。まだまだ面白いことはあるんだよ、という余裕すら感じる。
    笑いには、瞬発的なものや、腰が砕けるようなしょーもないものまで幅広く盛り込まれている。「悲哀」の聞き違いはあまりにも、しょーもないのだが、それがいい塩梅に膨らんでくる。
    辞める役者が「やっぱり役者続けるよ」というような大団円にならないあたりも、ある年齢以上の劇団らしいラストだと思った。

    「どうやって自分たちのシーンをカットされないか」となってきたあたりから、バカバカしいことも含めての展開がとてもいいのだ。

    とにかく全編いい感じで笑え、楽しい舞台だった。こういうLIVESは大好きである。

    終演後の拍手は、ダブルコールぐらいの響きだったので、多くの観客も同じ感想だったのではないかと思った。

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