満足度★★★★
個性豊かな3 本立て
スターダンサーズ・バレエ団のメンバーによる振付作品の3本立てで、鍛えられたダンサー達の身体を通じて、それぞれの振付家の作風の違いを堪能しました。
遠藤康行『Love Love ROBOT 幸せのジャンキー』
今回の3作の中では一番コンテンポラリー寄りな作風で、ゴム紐を用いたパフォーマンスや、パラパラやヒップホップを取り入れた動きなど、意欲的な表現がたくさん盛り込んまれていました。面白い部分が色々あったのですが、バラバラに感じられたので、もう少し統一感が欲しいと思いました。
チェロ、アコーディオン&ヴォーカル、ギター、コンピューター2台によるバンドのエレクトロニカ系の音楽の生演奏が格好良かったです。
佐藤万里絵『HEAVEN SEVEN』
具体的なストーリーはなく、ミニマル/ポストミニマル系の音楽に乗せて男女3人ずつのダンサーがキレの良い動きを繰り広げる作品でした。クラシカルバレエのテクニックを中心に構成されていましたが、照明が床面に描くシンプルな四角形と円形に合わせた空間の使い方がモダンでスタイリッシュな雰囲気を作っていました。
最後のシーンはとても印象的で美しかったので、もっと時間の長いシーンにして、じっくり観たかったです。
鈴木稔『幸福の王子』
王子とツバメの切ない関係をショパンのピアノ曲に乗せてユーモラスな振付で描いた童話的物語で、万人向けな作品でした。パロディー的にいかにもバレエ的な表現をしたり、『ウエストサイドストーリー』やベジャールの『ボレロ』を思わせる要素もあって、楽しかったです。パウル・クレーの絵のような舞台セットも可愛らしくて、童話的雰囲気を盛り立てていました。
街の権力者夫婦の位置付けが分かりにくかったのがもったいなく思いました。
ちなみに今回の公演の収益金は全て東北の地震に対して寄付するとのことです。バレエ団としては大変でしょうけど、観客もこういうときに劇場に来ている後ろめたさを解消できて、素晴らしい決断だと思います。