満足度★
演出家はどこに?
楽しめるところはあった。しかしそれは牧山祐大と三島景太の俳優としての能力だろうし。仕掛けや舞台美術や衣裳や照明やとあまりにいろいろなものの噛み合いが悪すぎる。べつべつにばらばらにつくっていてまとまることを知らなすぎる。俳優も多くの人が交流ということを全く意識していないのかただ一人でそこにいる。一人でそこにいられることは舞台にたつことの基本かもしれないがその一人が別の一人と何か呼応した時にみえてくるものが生身の身体でしかつくれない藝術なのではないかと思うのだが。
その意味で一人でいることについての安定をみせてくれた、牧山と三島が印象に残ったのだろう。とくに3幕、車椅子をおす舞台監督牧山とただ座る三島の二人の表情と何の情感もないかにみえる静かな語りとが圧巻である。