満足度★★★★
観に行って良かった
シェイクスピアの『から騒ぎ』がベースになっていて、一応物語の流れに沿った作りになっていましたが、ダンス作品として自由にアレンジされていて、戯曲を知らなくても楽しめるものに仕上がっていました。
井手茂太さんと斉藤美音子さんというイデビアン・クルーの看板2人によるダンス(意外にも、この2人によるデュオ作品は今回が初めてのとのことです)は流石の安定感で、高度なテクニックをさらっとこなしながら、一方ではわざと動きを間違えたように見せる振付で客席の笑いを誘っていました。最近、井手さんは演劇の振付も多く担当されていますが、やはりダンス作品が一番だと思いました。
仮面舞踏会のシーンで仮面の代わりにヘルメットを被って踊ったり、最後の結婚パーティーのシーンが盆踊りだったり、置き換え方がユーモラスでした。原作では直接は描かれていない、悲劇の原因となるバルコニーのシーンを演ずるかと思いきや、斉藤さんが「おお、ロミオ!」とシェイクスピアの別の作品の台詞を叫ぶのに対して、井手さんが「違うよー」と答えるシーンの間合いが絶妙でした。
照明が素晴らしく、舞台袖も丸見えの素舞台が色々な雰囲気の空間になっていました。冒頭場面や最後のシーンで照明の器具自体を見せる照明プランも新鮮でした。
いわきに3週間滞在して作った作品が1回だけの公演で終わってしまうのはもったいないので、ぜひ東京でも再演して欲しいです。