無題
1959年から1960年にかけて小学生と教師だった登場人物たちのエピソードと、大人になった1980年にその頃を回顧するエピソードから構成される。当日パンフレットの挨拶文に「極太の筆で書きなぐったような荒筋と稚拙でちぐはぐな劇構成」とあるように、かなりダイナミックな作品だった。
明らかに大人の役者が小学生を演じると、大劇場ならともかく小劇場ではどうしても滑稽な印象を避けられない。それを補うには子供らしい動作、つまりちょこまかした素早い動きと感情に任せた大きな声が必要だろう。だからきっと出演者は体力の限り動いていたと思われる。
残念ながら、ノスタルジックな背景を懐かしいと感じるほど自分自身がまだ年をとっていないせいか、あまり世界に没入して鑑賞することはできなかった。
満足度★★★
演劇祭の醍醐味
30年前の作品改訂上演とのこと。
戦後1959-60年小学校時代と1980年代青年時代のお話。
導入部なかなかこの劇団の迫力・世界観に入り込めなかった。
だんだんベテランの俳優陣が子供を演じるコトに
慣れて中盤からは心底楽しめた。
稲川実代子さんの迫力と
黒岩三佳さんの凛とした強い演技が印象的だった。
王子小劇場の佐藤佐吉演劇祭で出会った作品。
演劇祭のラインナップに入っていなかったら
たぶん見落としていたと思う。
演劇祭の醍醐味を味わえた。
満足度★★★
オトナのちからワザ・・・
この劇団はけっこう観ている。今回は、金杉忠男さんへのオマージュの意味合いもあるようだ。観ていて、懐かしさを感じた(自分がこの世代というわけではないが、金杉氏/中村座の最後のころの公演は観ていたので)。たあだ、かなりのちからワザ公演(それをいいオトナが演るのが面白いのだが)であり、そういうのがだめな人にはだめだろうな。