満足度★★★★★
珠玉の至芸、ここにあり!!
再演の度に劣化する作品は数多観ましたが、こんなにも、回を重ねるごとに、舞台が完成度を増していく作品て、なかなかありません。
本当に、何もかもが、秀逸で、これをご覧になった方は、きっと全員、春風さんのファンになるに違いないとさえ思います。
史実に基づく作品の、崇高な家族愛が、巧みな舞台構成と、春風さんの信じられないような、素晴らしい表現力で観る者の心を射抜き、本当に、演劇ってこんな素敵な可能性に満ちた活動なんだと、きっと、感涙される方が、たくさんいると思います。
スペイン戦争の知識なんて全くなくても、大丈夫!これは、逆境を、家族一丸となって、乗り越えた、普遍の愛の物語です。
【1人ミュージカル】という、コピーが災いしているのかもしれません。
確かに、春風さんお一人が、語り、歌い、踊るのですが、ミュージカルというイメージとは異質な作品です。このコピー、ミュージカル嫌いの人の足を遠ざけてしまっているようで、以前から、気になります。
究極の一人芝居と言う方が、ピッタリだと思います。とにかく、休憩15分入れて、2時間20分、春風さんお一人で、何役も演じ、台詞に歌にダンスに、淀みなく、命を吹き込まれて行く様子に、心を動かされない方がいらしたら、お目に掛かりたいくらいです。
真実に基づく壮絶な家族の体験劇ですが、決して、深刻にならず、隋所にユーモアが散りばめられているので、常に笑顔で観ていられるのが、またこの作品の素晴らしいところ。
福田善之さんが、きっと丹念に史実を調査し、その長い一家の経験の中から、演劇的エピソードを絶妙にチョイスされた過程が、嬉しく想像できる、秀作中の秀作舞台。上田さんの楽曲も、とても胸に沁みる曲ばかり。
どうか、一人でも多くの、世界中の演劇ファンに、ご覧頂きたいと、切に思います。
こんな素敵な舞台が、そんなに知られていないなんて、本当にもったいなくて、もったいなくて…。