満足度★★★★
マイムとアングラとコンテンポラリー
特に期待をしていなかったのがよかったのか、けっこう楽しめた。
問題があるとすれば構成かなと。これを3部としてくっつけるのは、よく言えば大胆。悪く言えば統一感がない。
1部は舞台上でのダンス。日常生活のいろんな場面を元にした短編のコラージュで、ダンスというよりパントマイムでコントをやっているように見える。内容も動きも明瞭すぎてつまんないなと思ったらデビュー作だったのかなるほど。
2部はもろアングラな雰囲気の、劇場全体を使った見世物小屋風パフォーマンス。これはなかなか手が込んでいる。劇場提携のワークショップの強みだろう、空間の複雑さを使いこなし細かい配慮がしっかりと非日常空間を補完していて、ずっといても飽きない。
ただパフォーマンスが点在しているのではなく、演者も各々移動しながら時に楽隊になったり最後同時多発で痙攣ダンスをしたりと一体性も感じることができる。マイフェイバリットは「毛皮のマリー」をエレベーターの中で朗読してた「美少年」。
単体としてはかなり満足度の高いウキウキ体験なのだけど、構成として観ると、1部のサラリーマン生活のパントマイムが2部でアングラとなって、受動から能動へとダイナミックな受容態度の変化を要求されるので、ここかなり観客に柔軟性がないとキツいんじゃないかなと。
そして3部は再び舞台でのダンス。内容は1部より抽象的で、音楽的な統制がきく野性的な躍動感を持った身体にほれぼれ。特に辻田暁さんの動作にほれぼれ。
それぞれ単体は楽しい。ただやっぱりトータルで観ると、この構成はちょっとどうかと
満足度★★★
目玉(?)が惜しい
1番目のAPEの作品は結構前に作られたものの再演なので、演出に多少古さを感じましたが、ダンサーの動きは切れがあって良かったです。
2番目の楽屋や倉庫やトイレ等の劇場全体を使った同時多発パフォーマンスは今回の公演の目玉的演目のつもりだったのでしょうが、演出・構成が感じられず、それぞれのパフォーマーの一芸の羅列に留まっていて、安藤忠雄の建築に負けていて残念でした。
3番目の作品は1番目の作品に較べてかなり洗練されていました。抽象的でしたが、情報量のある素晴しい作品でした。このような作品をもっと長時間観たかったです。
1番目☆3、2番目☆2、3番目☆4で、平均して☆3です。