花たち女たち 公演情報 花たち女たち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    「恋たち」チーム拝見
    「夢たち」チームとはだいぶ違う印象をもった。こちらのほうが古風で新派の味わいがあった。主役・正子役の堀越涼の達者さに舌を巻く。何でこんなに美しく巧いのだ。恐るべし。聞くところによれば女形初主演だという。「恋」チームの植本が「初日に堀越くんにサポートに付いてもらったが完璧にこなしてくれた」と語っていたが、芝居用語で言うところの「役が手に入って」いたのだろう。楽しみなスターが出てきたものだ。
    脚本が正子と蔦代を善人に描きすぎ、底にある花柳界の澱や女の嫉妬心、競争心が薄まって、きれいごとの友情物語になっているのが物足りないが、花組芝居のファン層向けにそうしたのだろう。
    舞台美術の花札屏風は安待合みたいで、「この店はけばけばしくなくていいですねぇ」という劇中の台詞と合わないのが困りもの。

    ネタバレBOX

    新派と言ったが、花組芝居はお笑いの要素も濃く、女形が素に戻ってしゃべるシーンもあるので、演じるほうも女形にドップリ漬かるわけにいかないのが難しいところだろう。堀越は出の場面の仕込みのころの声の美しさにまず驚いたが、おどけた地声が真面目な場面に切り替えたときも残ってしまうのが難点。終始三枚目に徹した谷山知宏の蔦代にはやりすぎの感があり、疑問も残った。正子・蔦代はいずれ劣らぬ器量良しという設定なのに、谷山の蔦代は正子の引き立て役になっており、オカマそのものだ。蔦代役は八代のほうに軍配を上げたい。正子・蔦代の踊りの場面、蔦代が手をはずす前の揃うべき場面もずれてしまうのが気になった。踊りの修練ですな。蔦代の母・ふじは北沢洋は老け役が巧く、「夢たち」の江藤役の人とは思えない。
    歌舞伎役者仙七の桂憲一にそれらしい色気があり、正子との見初めの場面の2人の美しいこと。加納幸和の阿や八は新派の名女形だった先代の英太郎を思わせて上出来。延二郎の秋葉陽司は「お鹿でない・・・お紺」と言われるように太りじしで笑わせる。彼の伊勢音頭って(笑)。秋葉は後年の河村屋の番頭も兼ねるが、主従の役が同一俳優というのはややこしい。
    堀越は終幕、愛する男を次々失って子供のように号泣するところに女の哀れさがよく出た。この若さでこれがやりおおせるとは。歌舞伎の門閥以外の女形としては若手のころの坂東玉三郎以来の驚愕。大根で閉口した市川笑也の新人時代と比べると堀越のほうが技量は数段上。
    若いころに違和感との指摘もあったが、堀越が20代では子役を使うしかなくなる。役者は70でも小娘を演じなければならない。新派の重鎮・花柳章太郎は50代でも15に見えた。演技力でカバーするべきだ。




  • 満足度★★★★

    上手いなあ【恋たち】
    ずっと気になっていたのだが初めて花組芝居を観た。

    『あまうめ』等の他の舞台でときどき拝見する堀越涼さんが、演じられている【恋たち】版のほうだ。

    ネタバレBOX

    なるほど、花組芝居とはそういう劇団だったのだと納得。

    芸達者な人たちが多い印象だ。
    別バーションは配役がすべて異なるということだから、その数だけ芸達者がいるということなのかもしれない。
    小劇場の舞台であれば、通常何役かを掛け持ちしそうなところを、それぞれをそれぞれ役者が演じるというのは、小劇場ばかりを観ていた目にはやや新鮮に映った。

    蔦代を演じた谷山知宏さんは、設定的に三のセンなのか、やや騒ぎすぎの感もあるものの、見た目や動きだけで笑いを取ろうとあまりしないところに、劇団の品のようなものを感じた。

    主人公の正子を演じた堀越涼さんは、特に芸者を辞めてからのほうが、逆に物腰や所作に柔らかさが見え、きっと美人で凜とした人なのだろうなあ、ということを感じさせてくれた。
    今半の60代以降には、その凜とした感じがさらに増し、美しい老女のように見えてきた。

    堀越涼さんに限らず、全体的にきちんと動きがコントロールされていて、メリハリもあり、それは今回のような大きな舞台に映えるものであったと思う。

    また、女将や女中など、初めから中年以降の女性ほ演じている役者さんたちは、誰もが無理なく中年女性を演じていて、動きもなかなかだと思った。

    役者さんたちの動きや台詞が、次にきちんとつながっていく様は、気持ちいいほどであった。相当の練習も積んでいるのだろうが、上手い人たちが揃っているのではないかと思わせた。

    物語は、有吉佐和子原作の2編の作品『芝桜』『木瓜の花』をうまくつないでおり、それぞれの植物が印象的に現れてくる。
    明治・大正・昭和を舞台に、純愛と悲哀が芸者だった女性の人生を彩るという、新派っぽいストーリーではあるが、すぐにその世界に引き込まれていった。

    それは、とにかくテンポがいい、早いということではなく、緩急の付け方や、役者の絡み方などがうまいのだ。
    また、細かい前フリからそれを拾いつつ、物語は進行していく。細やかな感情がさりげなく表現されていたりする。
    特に、正子が恋人の歌舞伎役者と別れるはめになるシーンは、ちょっとした間と、まるで大見得をきっているような正子の悔しさが滲み出ているようで、きちんと見せ場になっており、素晴らしいと思った。それは役者と演出によるものなのだが、飯島早苗さんの脚本もいいからだと思う。


    身長や顔かたちで、どの役者さんたちも、少女の役はややきついものがあったが、中年以降の役は、ぴったりとしていた。
    だから、無理を承知で言えば、正子と蔦代の前半の十代のときだけでも、うんと若い俳優が演じたほうがしっくりきたような気がする(少し前屈みになっていたが、やはり身長や声が気になってしまったのだ)。

    大正、昭和の出来事と主人公たちの年齢を重ね合わせて、そのときの年齢を脳内変換しながら観たのだった。
  • 満足度★★★

    「恋たち」観ました
    会場にはいった時点で、お客さんが女性ばっかりなのと年代の高さにちょっとびびる。。。
    「歌舞伎」っていうより「大衆演劇」って感じ?
    これはこれでおもしろいと思います。

    ネタバレBOX

    お話は原作を知らなくても想像がつく感じでした。
    衣装が派手なのに舞台美術(?)が貧相な感じがなんとも・・・。
    楽しませようといろいろ盛り込んだのかもしれないですが、上演時間が長い!
    役者さんは気になる方が何名かいらっしゃいましたが、花組芝居の次回公演を観たいかというと・・・微妙な感じです。
  • 満足度★★★★

    初日、「夢たち」チーム拝見
    フライヤーを見ると、イラストが少女マンガみたいで、夢、恋、花と書いてあると、
    夢ゆめしい舞台を想像するが、イラストのような美少女はもちろん登場しない。花組芝居だから(笑)。
    花組芝居を何十年ぶりかで観劇したが、全然変わっていなかった。にぎやかである意味泥くさい。そして、客層も40代後半の女性で占められ、普段行く小劇場の客層とはだいぶ違う。つまりあの当時の若いOLたちがそのまま年を経ても応援してるということになる。
    昭和のある時期、40代の女性客が新派や東宝系の商業演劇を支えていたのだが、平成のいまは花組芝居はその線ということになるだろうか。
    原作となった「芝桜」も「木瓜の花」も、新派や東宝系商業演劇で何度も上演されてきた昭和の名作だ。花柳界の事情に通じ、女の業を描くのが得意だった有吉さんだからこそ書けた小説。ただただ、ヒロインの正子と蔦代が、見ていて懐かしく、いとおしかった。泣かせて笑わせて、よくできた芝居である。
    有吉さんがご存命でこの花組芝居版をご覧になったらどんな感想を持たれただろうか、と思いながら舞台を見つめていた。

    ネタバレBOX

    花札みたいな趣味の良くない柄の屏風がパテーションになって、舞台がどんどん進行されていく。休憩込みで2時間40分。長いといえば長いが、時代の変遷が面白い。現代の女性にとっては古めかしく思えるかもしれない。
    「夢たち」チームは正子が植本潤で蔦代が八代進一。植本はいくつになっても色香の失せぬ色っぽい正子。所作も美しいが、どうしても私には彼のふだんのツルツルあたまが消し去れない(笑)。八代は化粧がケバいし、美しい女形とは言いがたく、女装にしか見えない。ゲイバーのママみたいで、違和感がある。
    私にとってのベストは杉村春子の正子に、山田五十鈴の蔦代である。やはり、この2人の名人芸が目に焼きついているので、悪いが比較にならない。
    だから、終始、有吉作品のパロディーとして楽しむしかなかった。
    宴席の場面に新派の雰囲気があったのは救いである。
    ロビーで初日乾杯があり、ここにいるオバサマたちがこの劇団を育ててきたのだなということが伝わってきた。座長の加納さんは昔と変わらず、お客に対して腰が低い。


  • 201011041900
    201011041900@全労済ホール/スペース・ゼロ

このページのQRコードです。

拡大