恋十夜 公演情報 恋十夜」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★

    うつつをぬかした初夏の夜。
    何かを強くおもう気持ちを『恋』になぞらえて描かれる10編。
    夢とも現ともつかない摩訶不思議な世界に飲まれました。
    音楽劇とあって浪曲、ロック、民謡、ワルツなどバリエーションが豊富で、生演奏も迫力満点でした。
    また伝統芸能を取り入れつつアレンジしている一面があり、文化的な観点から作品作りをされていることが伺えます。
    団体の演劇に対する姿勢や、中込さんの言葉の感度、物語の紡ぎ方が抒情的で素敵です。今後は海外での公演を視野に入れて活動して頂きたいですね。

    ネタバレBOX

    ぐるりと取り囲む360度、楕円形の客席の内側が舞台。

    第一夜「一夜限り」
    夢のなかで出会った男と会話をする女の妄想を、
    決して会うことのできなくなった、ロミオとジュリエットのように悲劇的になぞらえたり、四ツ谷怪談のお岩さんのように、毒殺され幽霊となった女とその夫にあてはめてたりしながら小気味よく小唄風の音楽に乗せて台詞を言う。話者(唄うひと)はふたりの後方におり、当の男女は、発話せず音楽に合わせてゆっくり動く。お能のスタイルをアレンジしているようなその動きを時折ぴたりと停止してポーズを取るのが何だかシュールで滑稽だった。

    第二夜「四つ葉のクローバー」
    原っぱで遊んでいたあの子はいっつも四つ葉のクローバーを見つけられたのに私は全然見つけられなかったあの頃の追憶(夢)。
    私、お友だちの心のなか&私の心のなか、お友だちと2役を4人に振り分けるアイデアが斬新で私が手を振ると、対角線上の下手側に位置するお友だちが手を振ったり、上手側にいる私が考えるポーズをとると、平行線上にいる擬人化された私の『心のなか』もポーズを取って、更にその心のなかをナレーションで被せる3重構造がかなり面白い。

    第三夜「初夜の愉しみ」
    新婚夫妻の初夜。ふたりの胸は高鳴る。入浴中の妻への、夫は妄想に事欠かない。その内容は、キュートなショーツが宙を舞い、風船を乳房に見立てた女性が夫の周りをふるふる踊る。というお粗末なもの。これらふたつをまざまざと見せつけられて場内がドッと笑いに包まれたところでお風呂から上がった新妻の、巨乳とイチャついている夢でも見ていたんでしょ?とトドメの一言。
    夫は頭があがらない。・・・という夢を夢見ている男の話。ミュージカル調のポップなビートに乗せて紡がれていく台詞が最後、妙な哀愁を醸し出していた。

    第四夜「腹の中」
    妊娠した女性のお腹のなかには赤子という希望(夢)がある。
    生まれてくるその子への、短いモノローグ。

    第五夜「飛ぶ」
    空を飛ぶひとは、想像するひと。そしてそれを見守るひと。ふたりとも大空をスイスイ泳ぎながらリズミカルにラップ調のことばあそびを繰り返す。
    「くれよんをくれよん!」には笑った。
    まだまだ夢が描きたりないよ、ってことだったのかな。

    第六夜「二階から粉薬」
    浪曲、ワルツ、ロックへと華々しく転調し、音楽に合わせて役者が踊る。
    歌詞はよく聞きとれませんでした。

    第七夜「出番待ち」
    誰かの夢のなかに登場することを望んでいる夢のなかの住人だが、誰も彼らを必要としておらず、いつまでも”出番を待っている”という状態。待っていては何もはじまらないことに気がついた彼らは、思い切って誰かの夢のなかへ飛び込むが・・・。

    第八話(序)終わりの始まり
    そこは実体を失った夢のなか。真っ暗で音と呼吸しかない暗闇だった。ここで、客席の後方部を全面的に覆っていた暗幕が開き、なかから生演奏をした楽器隊があらわれる。不協和音がはじまって、アルトの声が響く。そして、このまま第九話(破)宴へもつれこむ。九話に入ると、演奏はより一層激しさを増し、地響きのような怒号にかわる。猫の悲鳴も聞こえてくる。そうした中でミレーの落ち穂拾いに出てくるような農婦らが、地に崩れ落ちる。そして第十夜「夢の果て」にて鈴木清順の映画、陽炎座の如く桜飛沫が舞い、華々しく終演。

    オムニバスで10話を上演した団体を未だかつてみたことがなかったのでかなり驚きました。この公演に至るまで、気の遠くなるような準備や苦労が多々あったのではないでしょうか。
    実は私の見た回は、第ニ夜の終盤でブレーカーが落ちてしまい、20分くらい物語が中断されてしまったのですが、最後までやり遂げたのは素晴らしいとおもいます。ただ、全体を通してみると、やや詰め込み過ぎてしまった印象を抱いてしまったのも事実です。
    これは誰の、誰から見た物語だったのか。その視点を定めたり、所々で沈黙を演出すると、尚よかったかもしれません。
    暗転が多かったのが、少し気になりましたね。暗転中にも音楽に合わせて踊る、手拍子を打つなど、なるべくシームレスに繋いでいくと、もっと物語にうねりが出たように思います。
    あと、劇中歌がすごくよかった!
    親しみやすくて、どこか懐かしくて、ユーモラスがあって・・・。
    サントラが売っていたら、買っていたと思います。
  • 満足度

    残念。
    能や歌舞伎、舞踏などの日本の芸能の動き、台詞回しを取り入れた舞台でした。訓練されていない声・体でやっているので中途半端で空回りしている感じでした。
    音楽もミュージシャンの配置に趣向を凝らしていましたが、そのせいでアンサンブルがバラバラで(そもそもチューニングすら出来てない・・・)聴き辛かったです。
    テキストはふんわりした感じで面白いところもありましたが、七五調がしつこく感じました。

    上演中に照明がショートして電源が落ちてしまうトラブルがあったのは可哀想でしたが、そのときの対応がしどろもどろで残念でした。小さな場所の公演でも舞台監督が必要なんだな思いました。

    今回は残念な出来でしたが、まだ若い人たちなので今後に期待。

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