面倒。
人間関係とかそれこそ家族とかって面倒なものです。分かってるのに維持したかったり踏み込んだりするのは、何かを求めるから。
言動よりも行動に重きが感じられる演目だったのは個人的に好きな部分。物語の説明ではなく、目の前に存在する事への説得力。だからこそ役者の立ち振る舞いにも出来不出来が如実に表れていたかと。三人芝居で出ずっぱりだから疲弊するし、特にやりながら精神的に波に乗せるのが難しいだろうなとも。上演時間65分は正確な限界値だった気がする。
違う人数でやったり構成を変えたり、可能性のある演目にも思えました。そういう意味では今後また何かの形で観てみたい気持ちもそそられて。
満足度★★★
母と娘の愛と憎しみの物語
劇団森の荻原永璃が演劇倶楽部、てあとろ50' くるめるシアターという早稲田を代表する劇団から魅力的な役者を3人集めて挑んだ合同公演のような企画。母と娘の愛憎を永遠の輪廻にまで導き、内面世界を舞台の上に表現してみせた。
萩原永璃は前作もリストカッターの物語を描いたが、心の内面を描く作家。コメディやエンタメが全盛の大学演劇でシリアスなものを真摯に書き続けている。
役者はそれぞれ各劇団を代表するだけあってうまい。河合恵理子はエンクラでいつも演じる明るく元気な子の役とは真逆の役を演じ、新境地を開いた。三谷奈津子は若いながら母親の持つ愛情とときに傲慢さを表現し、しっかりと母親に見えた。間に入って谷口大介が何役もこなしていたが少し難しい役だったか。他の公演も見てみたい。
実際に舞台上で調理をするところが斬新な演出だった。