満足度★
練習段階を舞台に上げてはいけない。
役者は新人を中心に、1時間の短いもの。
と、これくらいの事前情報のみで行く。
新人だから仕方がない、とも言えるが、それにしても見るに耐えない。
セリフの間が悪く、お互いのキャラクターの距離も全くとれていない。
誰1人としてキャラクターとして舞台上に立っていない。
セリフの間に関して言えば、ほとんど自動的に次のセリフが出ているだけ。
相手のセリフを自分の中に取り入れてから発する、という間は全くない。
相手キャラクターとの距離も決まった動きをしているだけだから、必要な距離、緊張感の生まれる距離を全く表現出来ていない。
その動きも、あまりに硬い上、あまりに陳腐。生きた人間の動きではなく、「こんな時こういう動きを見たなぁ」位の再現ドラマの真似レベル。
各役者いろいろ改善点はあると思うが、次女役(下から2番目の妹)の方は発声位置が前すぎて舌っ足らずな発音しか出来ていない。
このままだと役の巾が狭まるのではないかと思う。
ストーリーについても褒めるところが無い。
天涯孤独の者が集まって擬似家族をつくるというが、集まってきた人間を見るに、あまり信頼関係があるようには見えない。
これは役者の責任でもあるだろうが、そこに至るまでのネットでの関係性が見えてこないことに原因があるだろうと思う。
事前の様子は舞台上で見せなくとも、お互いの言葉、距離などちょっとしたことから感じさせなくてはダメだろう。
世間には天涯孤独という人間ももちろん存在するが、今回登場したキャラクターに孤独感は感じられない。
家族を求めて集まったはずなのに、誰も家族を欲していないのだ。
これは役者本人たちが幸せな環境で孤独ではないという事だが、脚本家もまた孤独に生きた経験が無く、それがどんなものか表現するのに安いテレビドラマなどからお手本を持ってくるしかなかったという事だろう。
1時間という枠があったためなのか、ドラマが性急すぎることも大きな欠点だろう。
各キャラクターが登場し、まだそのキャラクターたちの空気が温まらずぎこちない状況のままに、破壊者たるキャラクターが登場。
崩壊も、音を立ててでもなく、緩慢にでもなく訪れる。
家族の何を表現したかったのだろう。
野口家と対極をなす
血のつながりが絶対だとは絶対いえないけど、
他人同士の理解がいかに難しいものかをまざまざと
思い知らされたかな~
観劇後感はなんとなく凹み気分だったけど、
反芻してみるとじわじわといい場面が蘇ってきた。