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10カウント
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TOM(9)
満足度
★★★★
津嘉山さん、健在!
ネタバレBOX
沖縄出身の元ボクサーの老人と病気の少年の物語である。
老人は、かって「かまれ犬」だった。
「かまれ犬」とは、若手の有望なボクサーに勝って、自信をつけさせるため、つまり、負けるためのボクサーだ。
引退後は色々な職業につくも、長続きせず、今は清掃人としている。
ある時、資産家のお屋敷の掃除をしていて、少年に出会う。
8歳になる少年の部屋はボクサーのポスターや、グローブ、サンドバッグなどが置かれている。
身体が弱く、声が小さい少年は、強いボクサーに憧れている。
老人は彼のために、自分の生い立ちやボクシングの話をする。
病弱の少年は、目を輝かして老人の話を聴く。
一人くらしで見寄りのない無学な老人。 家に帰ると屋根裏のネズミに話しかけるだけ。
そんな彼は、少年を元気付ける という生きがいを見付ける。
少年も、掃除の老人が訪ねてくるのを待ち焦がれている。
「ボクシングのおじちゃん」
一方的に、老人が話すだけですが、二人の心は通じ合う。
そんなある日。 老人が、いつものように少年の家を訪ねると、母親からのメモが置いてある。
少年が亡くなったという知らせ。
少年の病死を伝えると共に、少年が“ボクシングのおじちゃん”に合い、話を聞くのを心から楽しみにしていたことへの感謝が書かれている。
老人は、サンドバッグを少年を殺した病気とみなし、叩き続ける。
しかし、無情にも鳴らされる「10カウント」
この物語は、津嘉山さん本人が書いた。
病気で倒れた自分の状況を重ねるような作品で、ラスト、息を切らしながらサンドバッグを叩き続ける津嘉山さんの姿は、壮絶とも言える。
舞台は少年に話しかける老人の話が中心だ。 沖縄訛りが心地よい。
沖縄人らしい楽天的な面も持つ老人の話は、笑いも多い。
終盤は、津嘉山さん本人もタオルで涙をぬぐいながらの、朗読。 こちらも嗚咽がもれそうだった。
昨年、病気で倒れ、「ヘンリー六世」を降板して、心配したが、名優津嘉山正種は健在だ。
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2010/04/26 13:21
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