満足度★★★★★
「あの戦争」についての新しいクラシック
時間の流れだけは誰にも止められない。
嘆いても、叫んでも、諦めても、1年、10年、100年…と時間は平等に
人の上を通り過ぎていく。
それは悲しく辛いことばかりとも言い切れない。
自分が当事者だった時は見えなかったもの、しかし本質的なものが
時間の経過に洗い流されて顔をのぞかせることは良くあること。
倉本聰氏は、抑制され、冷静で、上品な筆で65年前の英霊を、
「造られた作者の分身」ではない本物の英霊を赤坂の舞台に生々しく蘇らせた。
川の中の石は流れに削られ、水に磨かれ、さらに端正に輝きを増す。
夏に、「忘れられず記憶される」べき新しいクラシックが誕生した、といえます。