ゲスト:はむつんサーブ
2002年から毎年、GWに開催されているという創作ダンスのコンテスト。見るのはこれが初めて。というか、このコンテストの存在自体を最近まで知らなかった。踊りのジャンルはいろいろ。出場者15組はすべて初めて見る。プログラムに書かれている数行の紹介文をのぞけば、目の前で行われるダンスが自分に入ってくる情報のすべて。カーテンコールもなく、一組が終わって暗転するとすぐに次の組が踊りだす。10分前後の短い作品だったが、全体的にレベルが高くて、最後まで飽きずに見ることができた。コンテストなのでいちおう審査員がいて(山田うんもその一人)、その結果発表もあったが、受賞者を選ぶことよりも、出場する15組を選ぶほうが大変な作業だろうし、面白い催しだと感じられたのもそちらの選考をした人の功績が大だろうと思う。
HIPHOP系の踊りでは、和風とか東洋風の味付けをしていたのが印象に残る。
バリ島の伝統舞踊をベースにした作品がひとつ、珍しさで目を引いた。機会があれば本場のものも見てみたいと思った。眼球を左右に激しく動かすところでは、目玉の動きも振付の対象だというのがおかしかった。
コスプレ的な雰囲気の作品も多かった。「死神」「魑魅魍魎」といったタイトルや、攻殻機動隊という名前のグループだとか。
歌手のプロモーション・ビデオを彷彿とさせるような、バックダンサーっぽい群舞もいくつかあった。PVの影響って意外と大きいのかもしれない。
抒情性とかポジティブさとか、そういうものをテーマとしている作品が結果的には評価されたようだ。あくまでもコンテストの審査においては、だけど。
個人的な好みで、自分ならどの作品を選ぶかと考えたりもしたが、審査員が選んだものとはかなり違っていた。
このコンテストでは最優秀賞に選ばれると、同年秋にこの会場を4日間無料で使って自分たちの公演を行なえるという特典がある。
今回は作品の長さが10分前後だったので、もし最優秀賞に選ばれて、1時間くらいの長さになった場合、どのグループの作品がいちばん見たいかという基準で考えると、私個人としては「ごく小さな生物-40億倍の世界から覗いてみたら・・・」という作品を踊った「いだくろ」という女性二人組が好みだった。「いだくろ」とは井田亜彩実、黒田なつ子の二人の名前をくっつけたもの。二人の絡み合う動きをミクロの世界の生き物として眺めてほしい。作品のタイトルは観客にそう語っているわけで、最初からそういう見立てへと誘導するところがちょっとユニークな気がしたのだ。