満足度★★★
きらめく感受性、切ない物語。
才能というのは残念ながら努力とイコールにならないものだ。特に芸術の世界では自分より才能がある仲間を見る目は羨望と嫉妬でしかない。その友と仲良くつきあっていくためには仮面をつけて生きていかなければいけない。しかし・・・。
若き芸術家の苦悩を描きながら、この作家はロマンティストだ。ハピネスの曲の流れる喫茶きらら、それは幻のユートピアだ。青年時代、誰しも想い出の場所を持っている。誰にも侵されたくない場所。これはそこを守ろうとする人たちと、そこから旅立とうとする人たちの物語。
ナイーブで壊れやすい感情のひだを的確に描写してみせたり、人を簡単に傷つけてしまうナイフのような台詞が飛び交ったり、青春の荒々しさが舞台全体をみずみずしいものにした。