満足度★★★★
往年のNHK少年ドラマシリーズのオトナ版的
まずは出だしの作業中のシーンで針金で作った削岩機やシャベル(あるいはスコップ)に感心。フレームだけなのに雰囲気がよく出ている、的な。ある意味阿佐南のダンボール製小道具に通ずるか。
その直後、「ここから彼の妄想なのね」と一目でワカらせる照明にも感心。
ガラリとトーンが変わって引っ込み思案の田西がズバズバ言うんだもの、事前情報や説明がなくてもバッチリ。
照明に関してはその後の隠れ家の中と外の変化や、ラストでトンネルから出た時の陽光とやや遅れてそれに加わる逆光も見事。
他に演出では、水辺で顔を洗おうとして水面に映った自分の姿が源五郎であることに気付く田西、なシーンや終盤、外まで比較的近い部分を掘って脱出しようとする場面などの見せ方・表現方法も上手い。
源五郎と言えば、本人が時空を超えるのではなく『ウイング・オブ・ゴッド』などと同様に心だけがその時代の人物に入る「マインド・スリップ」(勝手に命名)の形態ながら、元の人物と入った人物が会話する(演者も2人)なんてのが愉快。
でもって、思っていたほど命を粗末にしているワケではないが、敵前逃亡よりは死を選ぶという源五郎に対して田西が「恥とか言うけれど死んでしまったら何もならないじゃないか」と言うところはσ(^-^) 好みのテーマだし。
あと、客入れ時のBGMが『荒野の7人』のサントラ盤(ほぼ全曲?)で、本編のオープニング曲もそのメイン・テーマだったこともあり、途中で野武士(?)がいるかどうか村に偵察に行く場面などに『七人の侍』へのオマージュも見る。
そんなこんなで前年9月の『アマガエル』よりもこちらの方がより好きかも。