満足度★★★★
順調な船出を祝す
松木円宏によるプロデュースユニットの第1回公演で、楽園王+の長堀博士による「明るい夜」と碧田直による「ハンケツ」の書き下ろし2本立て。
三者会談において同じテーマで執筆依頼したとのことながら、往年のEPレコード(古いねどうも)のA・B面の如く(すべてがそうだったというワケではないが)ガラリと異なった作品のカップリングなのが面白い。
「明るい夜」は自殺を図った女性が目を覚ますと彼女の兄・姉・妹・叔父だという(見知らぬ)人々に囲まれているが、次に気付くと夫との生活をしており…な「胡蝶の夢」系。
楽園王+よりも一般向けでわかりやすい(笑)ものの、いかにも長堀作品なので頬が緩みっ放し。(チラリと句読点ズラしも出てきたっけ…)
一方「ハンケツ」は殺人事件のあった部屋に刑事が関係者を集めて、真相を解き明かす名探偵の到着を待っているが…なおハナシ。
ゴドー(=説明不要?)や不動(=じんのひろあき作品)などと同系統の「待ち系」(笑)かと思いきや、徐々に刑事が切れ者ぶりを発揮する本格ミステリー風で、その展開の意外性が○。
しかしまさかタイトルが「判決」(これも出てくるが)ではなく「半ケツ」だったとは…(笑)
で、いくつかの疑問が残る憾みはあったものの、その後のエピローグが「明るい夜」冒頭のリプライズであり両篇をジョイントするカタチだったので「終わり良ければ全て良し」的な?
またこのエピローグでは姉のポジションが正編の主人公に代わっており、「もしやあの “家族” は、事ある毎に1人ずつ入れ替わってゆくのか?」などと想像させる余地もあるのが好み。
ということで、順調な船出を祝すとともに、今後どんなものを見せてくれるか期待。