満足度★★★★
命の重さ・生命の尊さ
死刑になりたいという理由から無差別殺傷事件を起こした男によって兄を意識不明の重態にされた女性研修医を中心にした物語。
プロローグは余命の少ない恋人のために不老不死の薬を手に入れたが「不老」と「不死」それぞれを分けてのんでしまい…というまた別のハナシ(しかし後半でリンクしてくる)だったり、そちらの主人公が胡蝶の夢よろしくどちらが夢か迷ったりもしてチョイとトリッキーでもあるので戸惑わされもするが全体を通して謳われるのは命の重さ・生命の尊さ。
特に終盤で研修医が述べる生命についての主張にはホロリ。その前の肝臓をめぐるやりとりでもすでにホロ、くらいまで行っていたワケなのだけれども。
また、前述の部分も含めて凶悪犯の生命の重さ、死刑の是非などについても考えさせられる。(死刑になりたくて無差別殺人を犯した者を死刑にするのは被告の思う壺、などという「矛盾」的な理屈も含めて…)
で、ストーリーの中心となる研修医を演じた工藤里紗は前年の秦組旗揚げ公演『Pain』に続いて好演。築山万有美、滝佳保子なんてベテランと互角に渡り合う(張り合う?)、な感じで。
TVドラマだと端役程度なのであまり気付かれないけれど、実はかなりイイ女優になってきていて、イイなぁ。今後ますますの舞台での活躍を期待。