水棲人現る
パル・フレナックという1957年ブダペスト生まれのダンス振付家によるソロ作品集。東京での公演は初めてらしく、もちろん私も初めて見る。
チラシの紹介文に、両親が聴覚障害者だったと書いてあり、そういう環境が作品にも神秘的なオーラというか、something specialなものを付与しているのではないかと期待してしまうのは、もちろん単なる妄想だと重々承知はしているが、この公演を見てみようと思うきっかけになったこともまた確か。
似たようなケースで思い出すのは、ジャック・ニコルソンが主演した「カッコーの巣の上で」という映画で、精神病院の看護婦長を演じて、ニコルソンとともにアカデミー賞を獲得したルイーズ・フレッチャーという女優。彼女も両親が聴覚障害者だったそうだ。病院内で悪ふざけをやめないニコルソンをガラスの窓越しににらみつける彼女の憤怒の表情が今も記憶に残っている。