満足度★★★★★
時代とか
「再演」というものには意味があると思います。あのときの作品を今やることの意味とか。私は前作を拝見しておりませんが、見てなかったことすら私のなかで意味に変わりました。
どこにでもいて、どこにもいない、何者でもなく何者でもあるカスパーという存在。この話のカスパーが何を考えていたのか、というより何に走らされていたのか、ぼうっと考えます。理解できたかどうかは別にして、久しぶりに読み応えのある戯曲でした。序盤のあたり、出演者が薄かったような気がするのですが、話が深まるにつれ、人物のそれぞれにもつ激しさや深さを垣間見れた気がします。
年若い役者が演じるということに意味もあるかと思いますが、熟練の役者さんでの上演、広い劇場での公演も見てみたいなと思いました。
満足度★★★★
講釈師、観てきたような嘘をつき
現場に「カスパー」という血文字を残す連続殺人犯と家族を殺されながらも彼に同行する少女、彼らを追う刑事コンビを中心とした物語…でありながらもサスペンスではなく人間ドラマ。
「講釈師、観てきたような嘘をつき」とはよく言ったもので、生々しいというか臨場感があるというか、会場のサイズも相俟ってまるでその場に居合わせているような感覚。
また、瑞々しく不安定さと危うさを持つ「未成年側」とオトナのふてぶてしさを持つ「成人側」の対比がクッキリしている上にキャストも設定年齢に近いために非常にわかり易い。ステロタイプではなく、たとえば碁盤の目のような京の街の如くスンナリとのみこめる、みたいな?(←かえってわかりにくい表現にしてしまったか(爆))そんな「潔さ」はやはり「女流劇作家」というより男性的と言えるかも?(笑)
満足度★★
なんだか
森田匠さんの演技は際だって自然に見えましたが
なんとなく全体的にお芝居お芝居しているような感じが。
しかし一番気になったのがやっぱしストーリーです。
不遇な環境のカスパー・ハウザーと、過保護な親を持つ
引きこもりの甘えたな17歳少年をダブらせることなんて
とても出来ないし、被害者の娘の言動も理解不明。
ぼくはリアリティを全く感じることができなかったので、
それぞれの役がどのような感情にあるべきなのかが
全然想像できず、あまり楽しむことが出来ませんでした。
残念
満足度★★★
ことばが降る瞬間
詩森さんとこのなので期待して行きました。
つくりは面白かったけど、主演の二人は勢いが先に立って見えてしまってちょっと残念。
勇さんからは、心の震えが見えた。言葉がいま、降ってきていると感じられた。これからに期待します。
しびれたのです。
きっと彼らがあと5年歳をとったらできない演技だと思うのです。
本当に若い役者達が今この時にしか持ちえない感覚で、誠実に舞台を作っている。とても貴重なものを観た気持ちになりました。
彼らが辿り着いたラストシーンに、とてもとてもしびれたのです。
満足度★★★
気持ちはそこにある
脚本・演出は、きっちり演劇をしようとしている印象を受けたのですが、俳優の作業がすべて内側に向かっている気がして、言葉が悪いのですが、何かの発表会を見ているようでした。
確かに感情は俳優の体の中にあるとは思うのですが、劇の世界を構築できておらず、内に秘めたるものを多くの観客に伝えるに至っていないのではないかと思います。
また、時々俳優の体から届いてくる感情も、ステレオタイプだったので、舞台上から立ち上がってくるものに、期待していたよりも興味をそそられませんでした。