満足度★★★★
あたたかくて後味も◎
あと1ヵ月ほどで結婚1周年を迎える夫婦の住んでいるアパートには以前亡くなった若い女性の霊が幸せそうな若夫婦に嫉妬して祟るという噂があり…な物語、一見ホラー系ながら実は堤泰之の『煙が目にしみる』や柳美里の「雨と夢のあとに」などと同系統の「逝った者がこの世に遺した想い」がテーマなハートウォーミングストーリー。
前述の2作はもちろん、このテの作品が大好きで観慣れて(読み慣れて)いる当然の結果として高くなっていたハードルも楽々クリア、的な?
インチキ霊媒師(『押入れのちよ』にも出てきたな、霊媒師と偽って儲けようとするオバサン)に「声」が聞こえてしまうあたりは『煙…』などこのテの作品でのお約束とはいえやはり楽しいし、(消息不明となっている)夫の「(妻の)わがままの受け止め方がわからず受け流していた」なんて台詞は上手いし、エピローグでの主人公の姉・兄の思いやりがあたたかくて後味も◎。