実演鑑賞
満足度★★★★★
衝撃の「動員挿話/骸骨の舞跳」以来、日本の近代古典戯曲を舞台化する青年劇場のアトリエ公演を毎度楽しみにしている。真船豊の作品世界は「鼬」を二回、目にしたのみで他に二三作を戯曲で読んだが本作は初めて。損得ずくの世の中、孤高ではいられない生身の人間の本質を透徹した真船らしい作品で、クラシックを中心にチョイスされた音楽と、暗転で浮かぶ(目線は上の方になる)「町」のシルエットが、作品世界を裏で捉えて秀逸(美術:佐々波雅子)。役者は特に夫婦の二人の比重が大きいが、妻役の形象には目が釘付けであった。真船が刻んだ彫像のような力強い人物像たちを皆が好演した。
実は数場の芝居で最初の一場を見逃し、二場の途中に滑り込んで見始めたのだが、椅子に座るや瞬殺で劇に引き込まれ、あれよと最後まで連れて行かれた。優れた舞台である。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/04 (金) 19:00
座席1階
「小劇場企画」と銘打っているが、休憩を挟んで2時間の本格的な会話劇だ。
時は戦前、お人好しの男性が金貸しに大金をかすめ取られ路頭に迷うという筋書き。舞台からは当時の庶民の生活、夫婦の力関係などが「こういう感じだったんだな」と思われる。パンフレットによると、作者の真船豊は「意識的に『人間』だけを描いた」というが、舞台から受けた印象は人間の本質というよりも「庶民の生活」や当時の空気だった。
金貸しを信頼して大金を預けるという、かいしょのない亭主に付き従ってきた妻。冒頭、この妻が凛として正座をしている姿が印象的だ。身ぐるみはがされて路上に出るしかない状況を招いたことに、妻は怒り心頭で夫に罵詈雑言を浴びせる。しかし、その激しい罵りもどこか最後は「また付き従うのではないか」という、何だか優しさのようなものが感じらる。こんな情けない男とは、今ならとっくに三行半で離婚というところだが、簡単にそうならないところに、もどかしさすら感じた。
この「凛としている」という表現がぴったりの女性が「もう実家に帰ります」という場面で、なぜかずっと沈黙をしてしまうというところに、昭和初期の夫婦の生活感というか、男と女のつながりのようなものを感じる。「今ならとっくに逃げられている」という状況でも、時代が夫婦の最後の糸をつないでいる、というふうに思われるのだ。
この妻を演じた八代名菜子の演技がすばらしい。当時の「日本の妻」の姿を十分に表現できているのではないか。さらに言えば、今回の舞台はこうした演技を十分に発揮できるこの女優のためにあるような筋書きだ。そういう視点で見ると、この長い会話劇も別の風景が開けて楽しめるのだと思う。
実演鑑賞
満足度★★★★
お人好しで破産した夫富久(岡山豊明)と、歯がゆい思いの妻キヨ(八代名菜子)を軸に、金貸しの増川(星野勇二)と、憐れっぽいその妻(藤代梓)も絡む。各々の言い分、生き方がくっきりと浮かぶ舞台だった。
増川の「3000円貸したから、3000円かえしてもらうのは当然。そのうち2000円は戻すなんて話を間に受けるとは」という話は至ってまっとう。増川を信じている富久の世間知らずのおぼっちゃまぶりが痛々しいほど。富久は自分の虫の良さがわかるから、信じたいということも自覚している。
ついには海辺で純白のペルシャネコが縁起が悪いから、商売も失敗したと言い出す夫の責任転嫁は、素晴らしく滑稽だった。
なんの商売が潰れたのか、海辺に来てやっとわかる。クラシック専門のレコード屋という、浮世離れした商売だったとは、人物像の駄目押しだ。このレコードが、最後の明るさをもたらす伏線になる
1富久の夜逃げ先の部屋、2同差し押さえ後、3金貸し増川の家、4近くの路上、5海辺の崖の上、6停車場側の支那そば屋、と場所がどんどん変わる。美術と小道具をうまく使って、それぞれリアルな雰囲気を見せている。とくに海辺のバックいっぱいに真っ青な空の布をかけたのは、パッと雰囲気が変わって見事。
この戯曲が変わっているのは、二人舞台にいても、一方だけがずっと話して、相手はほとんど答えないシーンが続くこと。独白、傍白ではなく、相手に聞かせる対話なのだが、ほぼ一方通行。これでも舞台が成り立つのは、発見だった。
1場では増川、2場の冒頭はキヨ、最後の6場は富久のほぼ独演会。とくに6場はずっと黙ってあらぬ方を見ているキヨが、何を考えているのか、セリフはないのに、その内心が非常に気になる場面だった。
この公演に関するtwitter
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青年劇場小劇場企画「裸の町」を観てきた。出演者は6名だが、実質は3名だ。借金をするもの、借金をさせるもの、それが複雑に絡み合って話は進む。最後は不明だが、展望は見える。肩はこらないが、昭和らしい時代を考えれば、やはり肩は凝る。
3年弱前
3月スタジオ公演「裸の町」は15日をもって終了。 明日18日からはオンライン配信開始。(28日まで) お見逃しの方、もう一度ご覧になりたい方はぜひ! 【視聴料金】 一般:3,000円 友の会・全国後援会会員:1,000円 お申し込… https://t.co/2fQTUTEJpZ
3年弱前
小劇場企画「裸の町」本日無事に千穐楽を迎えることができました!ご来場ありがとうございました(^^)そして入れ替わりで、養成所の卒業公演のセットが入ります。明日からは本番までまっしぐらー! https://t.co/xuTv9yfmU5
3年弱前
小劇場企画「裸の町」本日14時の部、ついに千穐楽を迎えました! チケットのお申し込みは13時まで受け付けています。 今すぐお電話を! 03-3352-7200 オンライン配信はインターネットからお申し込みください。… https://t.co/IbXtW8nn17
3年弱前
小劇場企画「裸の町」本日昼・夜、明日昼の、3ステージを残すのみとなりました。 本日を含めてお席はまだご用意できます。 まずはお電話ください!(03-3352-7200) どうしてもご都合の付かない方はオンライン配信で!… https://t.co/Sa1JLqj5ll
3年弱前
青年劇場『裸の町』を観た。1936年の作品。プロレタリア芸術運動は弾圧で潰されているころだと思う。金貸に騙された夫婦。私が感じたのは奥さんの台詞の強烈さ。この時代にこんな人がいたのか? 話は平凡で、夫婦が離れそうになったのが、また寄りを戻す。女性の強さを感じた舞台だった。
3年弱前
青年劇場「裸の町」の舞台で使われた蓄音機。舞台は昭和11年。眞船豊作の本作は商人の言説を信じて騙されて落ちぶれていく男。その男の商売は高尚なクラシックなど最新のレコードの販売という設定。当時のレコードは片面5分ほどでクラシック音楽… https://t.co/oGluuFxHgh
3年弱前
小劇場企画「裸の町」好評上演中! 本日、当日券あります(若干)。 公演は15日まで。どうぞお見逃しなく! 3/14月14:00(残少) 3/14月19:00 3/15火14:00 オンライン配信もこちらから!… https://t.co/fYLyefOmre
3年弱前
今日(2022.3.12)は青年劇場「裸の町」をマチネで。八代さんいいねぇ。取り急ぎ記録のみ。 感想などはのちほどの予定…。 https://t.co/vCVsLdfLN0 #青年劇場 #裸の町 #眞船豊
3年弱前
@ESSENCESEI そう、ここは奄美のとある廃校でグラウンドでは少年たちが普通にサッカーやってるんだけど、 一歩校舎側に入ると、 まるで別世界で上半身裸の町蔵がふらふら彷徨いてそうな異空間が拡がってて驚きました。
3年弱前
「裸の町」昨日のアフタートークは音楽プランナーの川崎絵都夫さん、音響プランナーの山北史郎さん。30分があっという間で楽しいお話を聞くことができました。 公演は15日までぜひお誘い合わせてご来場ください。… https://t.co/voZXbvBDQG
3年弱前
☆青年劇場付属養成所第50期生卒業公演☆ 「人の気も知らないで」作:横山拓也 3月26日(土)27日(日)3st チケット絶賛発売中! #養成所 #劇団 #役者 #横山拓也 https://t.co/EXFu6qX7NC #養成所 #劇団 #役者 #横山拓也
3年弱前
小劇場企画「裸の町」開幕から一週間。 スタジオならではの空間で繰り広げられる人間模様に好評いただいています。 公演は15日まで。本日はじめお席あります。ぜひご覧ください! https://t.co/wece9T7adw https://t.co/wEJhgi6mFv #裸の町
3年弱前
青年劇場『裸の町』面白い。真船豊はチェホフ的喜劇として書いてる。最後の支那そば屋の広沢虎造で漸く気づいた。陰惨な物語ゆえ作者が登場人物からとる距離になかなか気づかず。クラシック好きで浪曲を軽蔑する主人公が落ちぶれて流行歌レコードを売るのを決意するのは新劇自体のアレゴリーでもある。
3年弱前
【「裸の町」チケット情報】 3月12日昼の部が新たに売切れに。 座席数が限られているため、状況は刻々と変わっていきます。 最新情報は劇団サイトまたはお電話でご確認ください。 https://t.co/wece9T7adw TEL0… https://t.co/gnUahyye9h
3年弱前
【「裸の町」チケット情報】 新たに13日が売切れ、14日の昼が残少に。 夜の部は比較的お席に余裕あり。 お誘い合わせの上、お申込みを! 詳細は劇団サイトをご覧ください。 オンライン配信(3月18日~28日)も受付中!… https://t.co/9YUIS5GsnH
3年弱前
「裸の町」3日目の終演後は毎日新聞論説委員の濱田元子さんのアフタートーク。青年劇場の上演作品や小劇場について、今後劇団に期待することなどを語ってくださいました。本日(3/7)の休演をはさみ15日までの公演。ぜひご来場を。… https://t.co/NR4wPqc7Vf
3年弱前
@daifuku_mgmg きょう芽生ちゃんに会ってきました。 青年劇場さんのお芝居を観に行った機会にですが、昨年の9月公演でお会いしなかったため、1年振りぐらいです🥲
3年弱前
青年劇場『裸の町』戦前戦後と二度映画化されたという、真船豊の戯曲。インテリ気取りのクラシック好き(つまりオタク)の夫(岡山豊明)と駆け落ち同然で結ばれたお嬢さん育ちの妻(八代名菜子)が、金貸し(星野勇一)にしてやられながら再生する… https://t.co/XByqIfXd49
3年弱前
16年前の劇団福井青年劇場の上演、現在俳優としても活躍中の佃典彦さん作のものすごい演劇『カレー屋の女』をアップしました。賛否両論あった作品だが、今見てもすごい。SD映像でも舞台に流れる奇妙な空気感が感じられる。うちの劇団すごすぎる… https://t.co/K7baDDzRbD
3年弱前
不和や摩擦が発生してて、これはさしもの新劇の老舗、人間の葛藤と不協和の内的エネルギーで発電する青年劇場さんでも扱いにくさはあったのかなと感じました。 丹念に書かれた台詞を丹念に演じる分、亭主の錯乱っぷりや奥さんのキレ散らかしっぷりは見ていて結構グッとくるものがあったので、(続
3年弱前
青年劇場『裸の町』観てきました。 夢を持って上京してきた田舎夫婦が金貸しにコロッと騙されて店も家も取られて、お人好しの旦那がどん底まで落ちてく様と奥さんのキレ散らかしっぷりを丹念に描く、みたいなお話。 まぁ〜間の長い作品でした!主… https://t.co/9cBwWSR00d
3年弱前
昨晩は新宿御苑で、青年劇場の『裸の町』(眞船豊作、板倉哲演出)を見る。青年劇場が上演した眞船豊の『鼬』もすさまじい迫力の舞台だったが、『裸の町』も新鮮だ。クラシック・レコード専門店を営む富久善光は、世間知らずのため、高利貸しに騙さ… https://t.co/FrGqLR3KuI
3年弱前
小劇場企画「裸の町」、ついに昨日開幕! 会場いっぱいのお客様には「面白かった!」と喜んでいただくことができました! 3/12昼・13昼の部が新たに残少。お申込みはお早めに。 詳細は劇団サイトへ。… https://t.co/XlfmOVgMA4
3年弱前
★開幕おめでとうございます★ 青年劇場『裸の町』 (@seinengekijo ) 劇場:青年劇場スタジオ結[YUI] 期間:2022/3/4(金)~3/15(火) 公演詳細→https://t.co/QtSoJytA3m ★… https://t.co/14R9qOR0g8
3年弱前
ミラクルガールの第2話のパトカーが、なぜか、クラウンパトカー。日産が車両提供しているのに、謎ですね。しかも、当時の裏番組の刑事ドラマ(大空港、裸の町)の劇用車らしい?。 https://t.co/AqHsOa0qmy #ミラクルガール #トヨタクラウン #劇用車
3年弱前
3月「裸の町」初日間近!稽古場だより更新! 【チケット情報】 3/4が売切れました! 3/6が残少になりました。 比較的昼の部が早く埋まってきています。 ご希望の方はお早めに。 詳細は劇団サイトへ。… https://t.co/VrM2svAF0E
3年弱前
新宿の青年劇場で、真船豊『裸の町』上演に因み話す。土方与志秋田雨雀の名冠す同劇場と私では、水と油、場違いだが、私には真船も岸田國士も、数多く書いた新派の劇作家。演出した久保田万太郎通しての新派と新劇の差異、これ迄見た真船上演につい… https://t.co/aOkeFpnSLY
3年弱前
小劇場企画「裸の町」 【チケット情報】 3/4 金 19:00の部が残り少なくなりました。 ご希望の方は直接お電話を。 TEL03-3352-7200 次のステージは売切れです。 3/5 土 14:00 3/8 火 14:00 3… https://t.co/LXeT3jCnU2
3年弱前
本日付のしんぶん赤旗にインタビュー記事が掲載されました。 小劇場企画「裸の町」は3/4開幕! 詳細は劇団サイトをご覧ください。 https://t.co/wece9T7adw https://t.co/IiblfdYJAU
3年弱前