ジョージ・オーウェル〜沈黙の声〜 公演情報 ジョージ・オーウェル〜沈黙の声〜」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-5件 / 5件中
  • 映像鑑賞

    満足度★★★★

    「ケストナー」「藤田嗣治」に続き今作も映像での鑑賞となった。
    前作より構造がシンプルで、この著名な小説家・エッセイスト・ジャーナリストの「内側」を覗けた。二つの軸があり、一つはインドとの関わり、一つは彼が影響を受けた、マーレー・コンスタンティンと名乗る作家(これは作者の創作だろうか)。男性と思わせて実は女性であったこの作家は、ナチスが世界を征服した近未来を描いた処女作で文壇に衝撃をもたらした(オーウェルの「一九八四」を連想させる)としているが、作者は彼女をオーウェルの前に姿を現わし、女性が己自身を名乗って生きる困難さを語らせ、問いを投げかける。同時にオーウェルもその当事者となる「闘い」の同志とも見える。
    インドとの関わりは、イギリス政府がインドにおけるナチスの暗躍=ラジオ放送を使った反政府(反植民地)気分の醸成に対抗し、ラジオ放送の作家としてオーウェルを招いた事で具体的な形をとるが、ラジオ局にはイギリス在住のインド人もおり、戦局や情勢によって彼らとの関係も変容する。インド生まれのオーウェルは植民地経営を担った父親がおり、彼らにとってはイギリス人・政府を代弁する立場に見える。時代は反ファシズムの機運、インドでもガンジーらが独立運動により意思を表明している中、「戦争が終れば英国政府はインドを解放する」という前提が共有されているが、何が本当かは分からない。
    大日本帝国の台頭も彼らの視野に入って来る。インドの独立派の中には日本をアジア解放の旗手として歓迎する動きがあった(既に対米開戦、マレーシア・インドネシアを落としている)。だが、英国内だけでなくインド本国でも英語を「強要」されている状況に疑問を呈する「反植民地主義」を採るラジオ局内の友人も、日本のアジア進出を歓迎する動きを始めようとしていたが、もう一人の友人である女性が、朝鮮半島の植民地化を例に「解放どころか、自分らの言語と名前を朝鮮人に強要している」実態を告げ、相手を苦悩させる。

    口角泡を飛ばす演技が、舞台にメリハリを付けているが、中津留作品に通じる議論劇の要素は、外国を舞台にしたフィクションである事で馴染んでいる感じも受ける。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    いいと思う。植民地支配についてインド人の批判を受けながら、ドイツ・日本に勝つためにインド人の協力を得なければいけないイギリスの苦衷がよく描かれていた。

    オーウェル(村岡哲至)を支えた妻アイリーン(滝沢花野)の可憐さに惹かれた。そんな女は男の奴隷にすぎないと言われても、いいと思うのは男のサガでしょう。また、リーダーシップだけでなく、だれかを支えるフォローシップも尊重されるべきと平田オリザは言っている。

    アイリーンと対極にある男名前の筆名で書く女性キャサリン・バーデキン(佐乃美千子)の存在が、舞台の思想をぐっと深めていた。彼女の書く、ナチスに占領された30年後のロンドンという架空近未来小説は、オーウェルの「1984」の全体主義国家とも通じて興味深い。虚構の人物と思うけれど、実は実在したのだろうか?

    ネタバレBOX


    惜しむらくは、イギリス対インド、男対女の支配隷属関係がずっと描かれるのに、それが最後のクライマックスを形作るオーウェルの小説とはテーマがずれてしまうこと。。オーウェルのヒット作「動物農場」(その延長にある「1984」)はスターリニズム批判の本だから。動物農場の内容をインドとイギリスの関係にもだぶらせるような新解釈はできないものか。あるいはそういう解釈はないのか?
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    友人から、行けなくなったクラシックコンサートのチケットを託されたため、はしごになってしまった。
    そのため、コメントを書くのが遅くなってしまった。
    ジョージオーウェルについては予習はしなかったが、お芝居だけでもわかる作りになっている。
    細かいところよりも、役者さんたちの感情のぶつかり合いを楽しんだ。
    今現在起こっているウクライナの戦争を思い浮かべた。
    詩とか小説で、何か人のために役に立てないかと頑張っているジョージオーウェルを演じている役者さんに夢中になった。素晴らしい演技だった。
    献身的な奥さん役の役者さんも、可愛らしくてよかった。
    献身的に生きることで幸せを感じる女性もいるのだ、とはじめて知った。
    自己実現のみが幸せと信じて疑わない...
    そういうふうに考える人が大部分なのかな、と思っていたもので...



    素晴らしい作品でした。本当に重厚で、いろいろなことを教えて、考えさせてくれた。
    良質で、貴重な作品、観れて大正解でした。とても満足でした。

    自由席助かりました。有難うございました。腎臓悪いので、トイレが心配で、トイレの近くに座れ集中して観れました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/06/09 (木) 14:00

    135分。休憩なし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/06/08 (水)

    価格3,500円

    8日19時開演回(130分)を拝見。

    英国の大作家・オーウェルの、第二次大戦中のBBC勤務及び退職後の生き様を描いた130分。
    大英帝国下のインド人の同僚達や、英国の利権そのものの擁護者である上司と接していくうちに、自身の人道主義的理想の矛盾を突かれ苦悩するエリック(オーウェルの本名)。そんな彼を支え続けることに、自身の生きがいを見出す妻アイリーンの献身が尊かった。

    それにしても、エリック・アイリーン夫妻を初め、BBCの上司や同僚、女性であることを伏せた作家に、親友でもある弱小出版社の社長…と、それぞれが語り出す真摯な理想や感情の波に、上演中、幾度も溺れかけた。重層的な脚本ゆえの醍醐味を堪能させてもらった。

    なお、余計なアドバイスかもしれないが、事前にWikiで、ジョージ・オーウェルの生涯を予習してから観に行けば、より一層、作品を味わい深く鑑賞出来るかもしれない。ただし、必然的にネタバレになってしまう部分もあるが…。

    【追記】
    上演時間が長いので、必要があれば、座布団の貸し出しを利用されることをお勧めしたい。

    ネタバレBOX

    【配役】
    エリック・アーサー・ブレア(ペンネーム:ジョージ・オーウェル)
    …村岡哲至(むらおか・てつじ)さん(見た目がオーウェルそっくり!)
    アイリーン・ブレア(妻。エリックの良き理解者)
    …滝沢花野(たきざわ・はなの)さん
    フレドリック・ウォーバーグ(エリックの友人。小さな出版社を経営)
    …時田光洋(ときた・みつひろ)さん
    ジョナサン・フランシス・イースト(BBCでのエリックの上司)
    …北川竜二さん(『発表せよ!大本営!』『あさどらさん』『殉情わりだす演算子』でおなじみの役者さん)
    ヴェニュ・チタレー(シェークスピアを愛するインド人の局員)
    …山村茉梨乃(やまむら・まりの)さん
    ブーペン・チャンドラ・タバッスン(母国を支配する大英帝国に反感を抱くインド人の局員)
    …伊藤大貴(いとう・だいき)さん
    キャサリン・バーデキン(マーレー・コンスタンティン名義で『鉤十字の夜』を出版。フェミニスト。エリックというよりも、アイリーンと考え方が対立?)
    …佐乃美千子(さの・みちこ)さん

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  2. 【映像配信】劇団印象-indian elephant-第28回公演「ジョージ・オーウェル〜沈黙の声〜」 | Peatix https://t.co/b2iL93GkvC

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  11. ブログへの投稿です。 <観劇レポート>劇団印象-indian elephant-「ジョージ・オーウェル〜沈黙の声〜」 https://t.co/JrbQqt6fuU

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  12. 【村岡哲至】📷 劇団印象-indian elephant- 第28回公演「ジョージ・オーウェル~沈黙の声~」より。(Photo by bozzo) ステージナタリー https://t.co/nj0MqQddZQ

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