映像鑑賞
満足度★★★★
見ようと狙っていたがかなわず、映像を有難く拝見した。数年振り二度目の電動夏子、作品性にも俳優にも既視感を覚えなかったが(記憶のかなた)、「侮れない面白さ」を感じた点が共通。
設定がユニークである。税務署の協力だか管掌だか、「税の大切さ」の教化・啓蒙活動を行なう協議会なるものがあり、小学校への税金教室の出張が主な活動。商工会議所的な組織でもあり参加資格は事業主である事。話の端緒は著名な若手起業家(健康食品)が今度参加するらしい、という話題。彼の講演映像を見て感想を言い合う雑談タイムが冒頭。全員が集まる前に女性同士の会話があり、思い出深い炊飯器の修理を頼まれた家電屋の女主人が依頼主の女性にブツを渡すのだが、家電屋は実は特許申請しない斬新発明をやっていて今日はその炊飯器を「炊飯器としての寿命は終えた」と別物に仕上げてくる。便利だが現実離れしている機能を持つこの代物を見事な伏線として序盤に奇妙な展開があり、作品世界の自由度はいや増して荒唐無稽さは後半に向かって拡大して行く。
「税」を語る舞台が据えられるが、サークル的な緩い義務感(使命感)による緩い繋がりの中で、個人事業主だから許される外目「人格破綻」かと思うキャラが炸裂、平然と「税金教室」の私物化(自己欲求の手段に)する者ども。小学生を前に一度ならず二度目も児童そっちのけでドラマが進行。各々勝手きままに行動するが、奇妙なかみ合いが生じて高揚する瞬間がある。というあたりはテイストは全く違うがアングラか元気な小劇場の要素がある。
だが、なぜ今「税」か。・・これに触れる会話は一瞬だが光る。「必要な事に税金は使われているのか。」
雑談の中でもさらっと、こんな具合。コロナ禍で支援が届かず自殺した事業主も知ってる・・しかし政府は支出を渋るため「日本は借金づけでお金がない」と喧伝している、親方の税務署に逆らうのもなんだが・・借金の殆どは国民だから財政破綻しないんじゃない?・・等。現在のマスコミを通して語られる事のないセンテンスが、言霊ではないが声になって耳から入るだけで私には光明だ。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/09/20 (月) 13:00
余りに面白かったので、勢い余って千秋楽で再度観た。初演も同じことしたんだよなぁ、って思い出した。
今回はテキストにこだわって観てみたけど、とにかく丁寧に構成されたセリフ群の見事さに改めて感心させられた。最後のセリフもいい。それと、役者陣の演技力にも改めて脱帽。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/09/19 (日)
価格3,900円
19日13時開演回(123分)を拝見。
税務署関係の経営者親睦団体・事業会。その事業会の組織のうち、小学校向けの税金教室などを運営する分会のメンバー達が仕出かす、アレヤコレヤの2時間モノ。
様々な伏線を錯綜させながらも、客席の笑いは絶やさず、最後には全て鮮やかに回収する手際の良さに、いつもながら感心しきり。
序盤でのセリフのやり取りに若干クドさを覚えたものの、それ以降は実に見事なエンタメだった。
なお、演じ手では、ストーリー上、役得ではあるのだが
千早一珠役・坂本ともこさん
長崎穣示役・森田晋平さん
のお二方がとりわけ印象に残った。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2021/09/16 (木) 19:00
独特の作風で知られる電夏が、2019年の池袋演劇祭のグランプリ作品を改訂して上演。初演も観てるが、ただただ面白い!
中小企業等の経営者が作る事業会が、小学校で税金教室をやることになるが、さまざな事情を抱えるメンバーたちがドタバタを…、という展開。かなり無理な展開でも、そうと思わせない力技が得意な同劇団だけあって、初演からグレードアップしてて、思わず笑ってしまう(いや、笑いに来ているのだが…)。初演の会場から急に大きな会場となったが、初演と全く同じ役者陣の熱量で見事にカバーして、少し寂しい客席からは大笑いが起こる。達者な人が揃っているということはあるが、成金の健康食品会社社長を演じる森田晋平の「気持ち悪さ」に磨きがかかっていた(^_^;)。
もう1回観たいな。同劇団を観たことがない人にも観て欲しい。