満足度★★★★
冷静な熱視線。
家族がテーマやツールとなる作品を描いてきた松井周。
今回の作品も家族がテーマであるからして、“松井の視線”に注目した。
実に鋭利な作品で、引きこもり・インセスト・親殺しと事件には事欠かない。
歪みがある家という空間を、実に気持ち悪く演出する。
長男の童貞的な妄想ぶりなど、松井脚本にも通ずるものがあるからか、
割とのめり込んだような演出を取ったのではないかと思われる。
特に冷静さを欠いていたとは思わないが、“冷静な熱視線”と言うべきか。
同世代の佳作に何を思ったのか、というものが作品に現れている気がする。
この作品のキーとなる、姉・野津あおい。妄想を具現化したような姉ぶり。
弟・菅原直樹は、まさに“アン・ファン・テリブル”そのもの。圧巻。
満足度★★★
生々しくも、頽廃的で美しい、
現代版「恐るべき子供たち」でした。
なので、姉と弟が、いつまでもそのふたりだけの楽園で遊びつづけられたらよかったのに!
なんて、物語を無視した願いとかも、ついw
満足度★★★★
舞台美術が異常にかっちょいい
舞台美術が異常にかっちょいい。
しかもそれが芝居の根幹を成すという。すごいなあ。
97年作の戯曲自体はややださい素材だろうと想像するが、
ちゃんと、いま可能な家族、として観れた。ぎりだけどね。
サンプルというチームのバランス感覚と役者がよいのだろうなあ。
何かが憑依したような父親役の猪俣さんに釘付けになる。
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以下、芝居と無関係な話を。
「アフタートーク」ひどい。芝居と観客への侮辱じゃなかろうか。
あれは一体誰のための時間なのかと問いたい。
具体的に書かないがサンプル主宰の方ならわかるだろうと信じる。
あと、関係者席多すぎだろうと思ったけどどうか。しかもいいとこなのな。
あと、フェスティバル・トーキョーの予算の話。
広告費よりもたとえば、一つ一つの公演期間を伸ばしたり、チケット代を安価にするってぇ方向とかに使えば、舞台芸術のお祭りへの参加者がもっともっと増えるんじゃないかなあ。現実的に可能なのかどうかはわからないでいる外野の意見で恐縮ではありますが。