満足度★★★★
川﨑麻里子、長井短、師岡広明と、弾けそうな役者陣に期待を膨らませ、劇場へ。他の初見の役者はどことなく映像系(今泉氏繋がり?)に感じられたのは力の抜け具合。あの川﨑女史が役者の「武器」を使わず自然体で演じる(だけでもそこはかとユーモラスではあるのだが)という、場面は多々変わるが現代口語劇のまったりした快い時間が流れる芝居であった(途中まで)。
冒頭は川﨑演じる姉(早季子)、ベッドの男(小山内)、そのそばで泣く男(正雄)の風景。三人は幼馴染で、泣く男が一応主役だと後で判る。姉は泣く男の元カノだが、泣く男は今余命幾ばくもないベッドの友人でなく、かみさんに離婚届を渡された自分の事で泣いている。それを二人は慰めている。ちょっとシュールな出だしだがここを出発点に面白く話は展開する。姉は弟(祐介)の親代わりらしくお金を稼いで弟を高校に通わせているが、弟とのキャッチボールでの会話は弟が今付き合っている彼女にどう別れを切り出せば良いか、というもの。姉は男に振られてもその後友達付き合いができている(泣く男然り)、自分もそんな具合にうまく収まりたいんだけど、と。姉からは「クズ」と言われるが、「相手に泣かれたらどうすれば・・」と訊かれて、ふと「自分も泣けば?」と自分の過去を思い出して答えてしまう暢気さ。そして泣く男の家では、妻(弓子)に三行半を突きつけられる場面に時間が遡っている。ここでの会話がいい。演劇やってきた泣く男が最近、ベッド男(予備校講師)の紹介で予備校の事務員になった。お金を稼がなきゃという気になっている訳だが、一方相手はと言えば「演劇頑張ってる正雄が私は好きだった。もうやらないの?」と言う。「お金は今まで通り私が稼ぐから。」最後には「どうして俺は自分の演劇が面白いと思ってる、応援してくれって言えないの?」と迫り、なんと泣ける話かと思ってしまうが、男のほうは煮えきらず結局女は去って行く。去るの手前のやり取りで、泣く男は妻に「いずれあんたは孤独死。これからあんたなんかに惚れる女なんて絶対ない」と言われて反論、対抗馬を出す。それが、冒頭の幼馴染同士の見舞いの日、男が泣きながら去って行くのと入れ違いに、ちょうど講師を見舞いに訪れ、すれ違い様に避け損なってお見合いをしてしまった女生徒であった。弟が「別れようと思っている」と言ったカノジョがまさにこの女生徒。弟は嫌がる彼女を最後には「泣き」で納得させ、彼女からは「きっと祐介君の事はずっと忘れない、また気持ちが戻ったら言ってほしい」と、有難い置き土産まで頂戴した。しかし女心(しかも十代)はなんとやら、ある日、元講師が亡くなったのだろう、葬儀場の庭で彼女は泣く男を見つけ、告白する。泣く男は当惑するが彼女側には理由があり、慕っていた予備校講師のベッドの前で大泣きしていた姿に心を打たれたのであった(誤解)。思わぬ積極的な申し出に、泣く男はかみさんとの事で泣いてるくらいだから簡単にはなびかないが、例の離縁話がもつれたその時に「俺に惚れてる女は居るんだぞ。」と、詳細情報付きで返す。その彼女(二胡)は、葬儀での告白の後、同じく葬儀に来ていた元彼(祐介)に付きまとわれる。喪服姿にキュンと来たか、「付き合って欲しい。いつでも待つって言ってくれたでしょ」と迫る弟。半分男を見切っている彼女は、男をホテルに誘う。「そんなんじゃない」と言いながらホテルの一室に来た彼は、喪服のままベッドに仰向けになった彼女を前に、やはり逡巡し「俺はまじめに付き合いたいんだ」などとほざく。彼女は相手を試す気分半分だが、本気と信じられないから本気を見せるチャンスを相手に与えた、が予想通り相手は尻込みした、というありがちな顛末。(後でそれを姉に話して引かれる、というくだりは蛇足に思えた。)さて妻との悶着の最中、泣く男の携帯に、彼女から電話が入る。「今、ホテルに居るの」・・。
確かこのあたりで、「演出」役の師岡が割って入り、役者に修正を要求する、という事をやり始める。つまり芝居を途中で止め、シーン稽古が始まるのである。
この構図を持ち込んだのは、着想した場面をランダムに入れ込みやすいからだろうか。それ以前に、話が煮詰まってしまったのだろう。もしや川﨑女史の「武器」を使ってもらいたく、異質な場面を挿入するための苦肉の策を講じたのだろうか。
この劇のラスト、ベッドに寝ていたのは泣く男自身で、夢を見ていたらしいという夢オチな雰囲気で終る。二段のオチがある訳だが、残念なのはその前の「稽古」シーンで、演出の繰り出す思いつきのアイデアがいまいち面白くない(飛躍し過ぎで瞬間的笑いは取れるが現実味が湧かない)。初日前日に「書き直す」と言い出すあたりは、劇作りの苦労を偲ばせるのではあるが、演出が出す新たな指示をもっと面白くするか、または演出の焦燥をリアルベースの演技で見せてくれるか、どちらかになりたかった気がした。
可能ならば、前半の芝居の「役」たちが、役者を侵食して役者自身と「役」の顔が判らなくなるとか、どうせ「夢」であるならば混沌としたシュールな場面になって行くもいい。本にするにはもう一段産みの苦しみがありそうだが。
満足度★★★
途中からテンポが微妙に変化しつつ、さらに無茶苦茶な展開になって、どうまとめるのか?気になったが、劇中劇の最後は「夢」だったというオチで、納得!
満足度★★★★
作・演出家が2名。
異なる2つの感性から成る演劇的化学反応系作品。
前半の男女間をはじめとする人間関係の機微の描き方は結構好きな作風。
それが一旦リセットされて別の作品に変身してしまったかの様。
変身とはいってもやっぱりひとつの作品、その駆け引きめいたせめぎ合いがとても新鮮でした。
前半でせっかく積み上げてきた繊細な空気感が崩れていく感じは快感にも似て、コインの裏表みたいな面白さだったけれども、ヤンチャが過ぎていたかカタルシスまでには至らなかった部分にはちょっと惜しかった感あり。
何よりこの斬新な演出に上手く乗っかれる役者さん達の演技力あってこその完成度。
その役者さんも何名か出演にて来年映画化、公開されるそう。
主演は演技の振り幅も大きい若葉竜也さん、う~ん何だか面白くなりそう。
この公演に関するtwitter
初日1週間前から「団体名」と「公演タイトル」を含むツイートを自動表示します。
(ツイート取得対象にするテキストは公演情報編集ページで設定できます。)
@kashiwa0514 @uplink_jp あ!伊藤さんは昨日の街の下ででもお会いできました! この3連休中、毎日お会いしてた気がする🎵
5年弱前
@_necoze_ 街の下でおもろかったです、今泉さん背高くてびっくりぽん
5年弱前
あの人の「おぃぃ」みたいなやつと、あの人の「うっす」みたいなやつがたまらなかった。 映画「街の上で」 舞台「街の下で」 ちょこっと繋がってるようにおもえて楽しかったなぁ。 もういちどみたかった! 舞台はもうみれないんだなぁ。 #今泉力哉と玉田企画
5年弱前
街の下でで最高に好きだったのは、夫婦のシーンの生活音が野球の実況なとこ(笑)巨人原が〜(だったかな?)が気になりすぎたんだ(笑)そりゃ弓子さんも「ほいっ」って言う!!って妙に納得しちゃったやつ(笑)
5年弱前
@_necoze_ 楽しみです 次から次へと ゎ‹ゎ‹ゎ‹(๑´ㅂ`๑)ゎ‹ゎ‹ゎ‹ 街の下でも演劇見たかったです
5年弱前
【師岡広明】出演舞台情報 無事に終演致しました! ご来場頂きました皆様、お世話になりましたスタッフ、 共演者の皆様、誠にありがとうございました!! 今泉力哉と玉田企画「街の下で」 作・演出:今泉力哉・玉田真也 2019年10月… https://t.co/KPaoyc0qoC
5年弱前
10/30「街の下で」今泉力哉と玉田企画 こまばアゴラ劇場 作・演出 シリアス風なコメディから一転、奇想天外な劇中劇、そして…。ちょっと強引な展開も脳内を裏切ってくれた独特の面白さ。これは共作の効果かな!?… https://t.co/oUJwi4YZVr #今泉力哉 #玉田真也
5年弱前
昨日で、今泉力哉と玉田企画「街の下で」終演しました!!とても穏やかな座組で楽しかったです。久しぶりに演劇をやれて本当に嬉しかった〜〜これこれ〜〜ここがホーム〜〜次の舞台は生瀬さん演出によるグッドバイです!!頑張るぞ〜🙆♀️ありが… https://t.co/xwB70Wy2QY
5年弱前
街の下で観たかったナー
5年弱前
今泉力哉と玉田企画「街の下で」 演劇の魅力に溢れた作品。ひとつの言葉やひとつの演技で世界を変えてしまう。僕らもきっと誰かを演じている。試行錯誤して生きてる。成立しようがしまいが物語は続いていく。 靴下のシーンが好きだ。川崎さんが女… https://t.co/XyzxUPIb9r
5年弱前
今泉力哉さんと玉田企画の玉田真也さんのエゴサされるように再掲。 起承転転転転、という感じでしたが、純粋に演者さんの立体的な動きと振り切れた演技に演劇の面白さを実感しました、ただラストがこれでいいのかとは思う。 『街の下で』をみ… https://t.co/o6u64vR0bo
5年弱前
街の下で 観に行きたいな
5年弱前
今泉力哉と玉田企画「街の下で」 無事に終演しました。
5年弱前
『街の下で』 成功してるとはとても思えなかった。
5年弱前
今泉力哉と玉田企画の舞台『街の下で』千秋楽観ました。前半までの静かな日常の揺蕩いが、後半で一気に拍動する瞬間。「もうすぐ死ぬんだよ?死ぬよりはマシでしょ」の部分、乃木坂46個人PV『かなしくない I'm not sad』を思い出し… https://t.co/BGElvUbl5H
5年弱前
「街の下で」ご来場くださいましてありがとうございました。本来、「あ」と打てば「ありがとう」と変換されますものを、心から感謝しております証としまして、一文字ずつ、「あ、り、が、と、う…」と入力させて頂きました。本当にありがとうございました!
5年弱前
今年お世話になった(なる)舞台。 グレコメ。ロミジュリ。プリンシパル。レミゼ。ラマンチャ。セラミュ。フラガール 。街の下で。(A CIVIL WAR CHRISTMAS。キレイ。) 去年の半分くらいかな。減っちゃった。
5年弱前
先日、楽しみにしてた今泉力哉と玉田企画「街の下で」観劇。整然と雑然が混同して面白かった。何よりあのニ胡ちゃんが。「街の上で」見てないんですが繋がりあるんでしょうか。長井短さんあの極上の自然な笑い方は極上。 https://t.co/vVqeA9eu8R
5年弱前
舞台「街の下で」 千穐楽 強引な夢オチは両演出家の個性を独立させつつ活かす為にはしょうがないのかな、という気はした。でもその割には「後半の為の前半」感が強すぎかなぁ…、観てる途中は思わなかったけど後から見ると今泉テイストも少し強めでも"成立"した気がするかな🤔 #街の下で
5年弱前
今泉力哉と玉田企画『街の下で』 本日無事に全日程終演しました。 観に来て頂いた方々、ありがとうございます! 次回は3月に玉田企画の公演を予定しております。近日中に告知します。 よろしくお願い致します。 https://t.co/i0GY6ekmXC
5年弱前
舞台「街の下で」 とりあえず前半のオトコのご都合の良い理想の女性を志田さんが魅力的かつ豊かに演じる姿を小劇場の距離感で観れたことで眼福でご馳走様でした監督笑。この世に「別れても好きでいて良いですか?」なんて言われた男存在するのだろうか…、いや今日アゴラに居たな… #街の下で
5年弱前
演劇好きな人たちと話したらやっぱり今回の『街の下で』はみんなつまらないと言ってました。
5年弱前
街の下でではある小説の一節が引用されているんだけど、台本読んでああやっぱりと出典確認。それでも微妙に文章が削られたり改変されていたりする。何気ないシーンだけど試行錯誤の跡。
5年弱前
昨日街の下で今日明日のアー。
5年弱前
『街の下で』 あれはなんだったんだろう、という観劇後の初動のままに書きました。 玉田企画作品を見たことがないので見当違いも多いと思いますが。 今泉力哉と玉田企画『街の下で』|アララ @alalanote https://t.co/HspQj7ybq9 #note
5年弱前
『街の下で』うーん、今泉監督も玉田企画も好きなんだが、なんかごちゃついてたな。でも両演出家がおそらく役者さんに「成立してないよね?!」と言われたときの恨みは凄く伝わった。それは共感するぞ!!成立してないよね?じゃねえええ!
5年弱前
『街の下で』観劇してきました。男女間のあの感じとか、行事ごとや特に役者を経験してたら出会うあぁいう人たちとか物語の内容より個々の存在のリアルさと空気感が観てて面白かった。個人的に青木柚さんのお芝居が素晴らしくて見入ってました。まさ… https://t.co/fY6XOo4M6k
5年弱前
「街の下で」観劇、 角田光代「平凡」読む、 「愛がなんだ」観た友達と話す、 で3連休すぎてセンチメンタル〜〜💭恋愛の「好き」って何だ!
5年弱前
今泉力哉と玉田企画『街の下で』 僕は玉田企画を3回しか見てないけど、その3回で僕の中に築き上げられた、作りの丁寧さへの信頼はかなり揺らいでいる。
5年弱前
舞台「街の下で」観劇。 帰り道をだらだら歩いてたら 何度も思い出し笑いがでてきて あ、この作品にハマってたんだと 気づきました。 すごく幸せな時間だったなぁ ずっとだらだらと この舞台をみていたかった、、 みれてよかったです。ほんとに
5年弱前
今泉力哉と玉田企画『街の下で』 ごめんだけど、僕には全然面白くなかったし、途中で出して欲しい気持ちになったのは久しぶりだった。
5年弱前
今泉力哉と玉田企画『街の下で』 総じて、作りが粗く感じたというか、それ以上に、明確なコンセプトの不在を感じてしまう。完成しなかった、演劇になれなかったものを見せられたのではないか、不誠実な公演だったのではないか、という疑念を抱く。
5年弱前
今泉力哉と玉田企画『街の下で』 どちらにせよ、前半はもっと客を笑わせて、芝居に引き込んで、世界を信頼させないといけなかったんじゃないか。で、それをぶっ壊して客をびっくりさせないと。後半、ドタバタしてるけど着地点が見いだせない。ドタバタを長時間続けるのはきつい。10分で良い。
5年弱前
今泉力哉と玉田企画『街の下で』 前半、どの程度のデフォルメ感でやるつもりなのか分からないというか、定まってない感じがした。シリアスにやってるつもりなんだとしたら、もうちょっと細かに色々大事にすることがあると思うし、荒唐無稽な笑いにするんだったらもっとやらないといけないと思うし。
5年弱前
今泉力哉と玉田企画『街の下で』 愛と別れみたいな感じの前半と芝居を作ってるドタバタの後半に分かれると思うんだけど、まず前半が面白くないんですよ。前半が面白く、信頼される世界じゃないと、それが劇中劇だったことを知った時の脱構築される感じというか、信頼が崩れる感じがないわけですよ。
5年弱前
「街の下で」観劇。 強者俳優魅力俳優しか居ない中、当然のごとく無双してた小竹原晋。。まあそこだけは見る前から予想ついてたけど… 前半完全に好きだし後半は楽しめた。 オチは肯定派です。 俳優の力量ってものの何たるかを見せつけられた。… https://t.co/7jd8rmcJ1V
5年弱前
街の下で、ネタバラシしないまま、あの笑っていいの? 駄目なの? 感が続けばいいのにと思ってしまった。高校生カップルの別れのシーンがいちばん好き。あの完成度であの茶番を行うことが面白いというか、恋愛って当事者が真剣なほど端から見てると滑稽で面白いみたいな。楽しみ方合ってるのかな
5年弱前
街の下で。 はじめは映画を観ているのかと思った。そしたらどんどん面白すぎて、笑いすぎて、きづいたら涙でてた。 整合性なんてつまらないことに頭を抱えていた。おもしろい。おもしろいんだから。関係ないよね、そんなこと。 https://t.co/amJbyEpjqZ
5年弱前
街の下でを見たあと、渋谷へ移動し、明日のアーは明日のチケットを取ってあるから、4階でアステアの映画のチケットを買う。とてもおなかがすいているから、時間まではゆっくりご飯。まあなんてよい日でしょう。
5年弱前
「街の下で」 玉田真也さんの演出は 「会話劇」としての 面白さを深めるんだけど 観終わった後に 何が残るかというと その深みが出しにくいという デメリットがある そこで、観劇後の余韻を 深めるために今泉さんの作風を 取り入れて… https://t.co/mT4iwaes36
5年弱前
「街の下で」見ました 今泉力哉監督ともお話しさせていただけたのですが、すんげえ緊張したし今でも緊張しているのでスト缶飲みながら渋谷まで歩いています 感想あとで書きます
5年弱前
今泉力哉と玉田企画 街の下で こまばアゴラ劇場 15:00- の回(千穐楽) 観てきました 結局何度観ても「…で?」と言った感じでした 色々な意味で大きな変化のない物語 でもそれって凄いことなんだろうなぁ 7回観て思ったことは… https://t.co/g1rKS52uHE
5年弱前
「街の下で」観てきた うん。。。 今泉監督の作品の文脈とか 「街の上で」との関連性を 考えてみたけど もしたしたら 玉田さんの演劇スタイルとの 相性が合ってないなというのが 正直な感想 前半のパートは良かったんだけど それ… https://t.co/0eA5ZQhFd5
5年弱前
「街の下で」1回目見た時はそういう感じかあって思ったけど2回目見た時面白さがわかった気がする
5年弱前
「街の下で」当日券取れた!観る!
5年弱前
締め切ります。 特に希望なかったので、ってまあ条件厳しいよな 『街の下で』当日券1枚増やしてもらえれば幸いです。
5年弱前
今泉力哉と玉田企画『街の下で』 昨日もご来場を本当にありがとうございます! 本日千秋楽です。本日(4日)は、15:00〜開演の回、お昼の回だけになります。受付は14:15〜、開場は14:30〜です。当日券若干枚ございます! 皆様の… https://t.co/jbPyGokYGv
5年弱前