存在しないが 存在可能な 楽器俳優のためのシナリオ 公演情報 存在しないが 存在可能な 楽器俳優のためのシナリオ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★

    鑑賞日2019/07/06 (土) 14:00

    演劇関係者の観客が多い。上演日数も限られているので、この密度になるのでしょうね。ヤン・ペシェック氏は大御所ということなので。

    皆さん、称賛の嵐なのですが、私はこうした一人芝居はちょっとなあ。
    かなり緻密に芝居が計算されていることは、よーく判るのですが、それでも、どうしても取っ散らかっている感が否めない。ピンポン玉に、水、偶発性の産物。歌舞伎などだと、活劇の中で偶発性がダイナミズムを生むのだけれど、一人芝居となると、どうもちまちま感が。

    ネタバレBOX

    スタニスラフスキー・システムを否定していたのは(一部、共感するところもあると但し書きながら)、さすが御大ならではのご意見。舞台を拝見するだに、確かにそうだろうなあ、と思った次第。
  • 満足度★★★★

    レパートリーシアター海外編2度目の観劇。
    今回もポーランドから招聘した舞台だが、俳優ヤン・ペシェクが76年初演以来40年以上演じ続けてきたこの「一人芝居」は、完成度の高い、というより特筆すべき演目であり日葡国交100周年の今年3度目の来日が実現した。
    劇場主催レパ公演だから入場1000円だが、上演時間の短さ(1時間)を差し引いても(他国語である事への配慮など諸々体裁を整えれば)最低でも3500円が相場だろうと無粋ながら考えた次第。

    タイトルにある「楽器俳優」という単語が刺激的である。関心の向きはシアターXのサイトで確認の程。演者は老優とはいえ今年75歳とは思えない身のこなしと闊達さで「晦渋な演劇理論」(を喋っているらしいとはパンフにあった)を懇切に熱っぽく表情豊かに語りながら、舞台上に散在する物に目を留めてはそれと戯れる。凡そ「理論」と似つかない優れて具体的なモノとの交遊のバリエーションがツボである。
    言語を介して生徒(大学の講義を想定すれば観客は学生)と対峙する態度と、物と対峙する態度はどうやら同じ次元にある。人類の始原を描いた映画に登場した猿のような「物」への純真な眼差しと、同じく演劇にも向けられた結果なのに違いないがこなれて難解化した理論とのギャップは激しく、それが同じ時空の中に区別なく配置されているので笑ってしまう。異国語じたい「難解」な訳だがこの言語世界に、「物」と遭遇する事で浮上する「反応する身体」が首を出す。だが本人の脳内では講義の時間は途切れなく繋がり延長している。

    シナリオを書いたボグスワフ・シャフェル氏は1960年代に当時演劇を学んでいた19歳のヤン氏を見出し、この俳優に当て書きしたこの作品を10年後(74年)に渡したという。ヤン氏自身はこの作品を当初はつまらないと思ったとの事だが、あるアイデアと共に輝き始め、楽器俳優との概念が示す演劇=音楽(音で作品が構成される)との視点から多くを学んだという。

    ネタバレBOX

    初日は終演後ロビーで交流の時があり、通訳を介して会場との様々なやり取りがあった。日本初のパントマイマーと紹介された人、ヤン氏演出による日本での舞台の出演者などなど。ヤン氏とシアターX、日本との関わりの年月を垣間見る。会場には欧州系の人々の姿が相当数見られ、日本語ポーランド語どちらの発言にも反応していた。ポーランド人が日本に居ても不思議はないがこうしてみると新たな発見である。
  • 満足度★★★★★

     昨夜に続いての観劇。シナリオ基本コンセプト、基本演技等は無論変わらない。変わったのはアドリブ部分と自分が座った客席の位置である。初日は前列2列目、下手の席に座ったので年のせいで視力の落ちた自分にも、細かい所迄手に取るように拝見できたのだが、今日は上手最後列に近い席に座ったので、見え方が随分異なることに我乍ら驚かされた。
     然しシャフェルの提示した今作と創作法は実に示唆に富むと同時にその理論を具現化してみせたペシェックさんの実力は、その歩き方、身のこなし、背筋の伸びた、それでいて一切力みの無い姿勢、呼吸、無駄の無い身体鍛錬が日常総てに於いて実践されていることから紡ぎ出される結果としての滑舌の良さと集中力、周囲に張り巡らされた五感の網の目の緩急自在と的確性、それを可能にする焦点化の能力など、彼が存在する至る所に天網のような時空が存在し動き続けることの凄さが、我ら観客にひしひしと伝わってくる。
     2日目なので時間の許す限り、昨夜購入したシナリオも読んでみたが、時間の無い自分は上下2段組みの20%程度を読んだに過ぎない状態で今日拝見したのだが、初見のインパクトをなぞるように、また記憶との対比で私自身を試すようにしながら拝見した。結果は、矢張りペシェックさんの存在そのもの、生き方そのものを賭けた内側から発する表現の自由闊達、いたずらっ子(アルレッキーノ的、即ちトリックスター的な生き様の素晴らしさとそのような生き様からしか生まれない現実化された自由な内面からの表現の素晴らしさ)といたずらっ子であるが故に通常の形では表現できないような、7月1日、恩師の死による魂の傷の昇華の凄さである。必見の舞台だ。この内実の一端が、2日間のワークショップによって開陳されることになる。無論、華5つ☆舞台は7日14時の1公演を残すのみ、観るベシ。8、9日13時からのワークショップは既に参加者は締め切られたが、見学は可能。詳細はシアターXに問い合わせるか、HPで確認のこと。公演は観なければ生涯の損になるぞ!(若干の追記をした。自分はワークショップを2日間見学したが、自分の世界に向き合う姿勢への自信を深めることができた。僥倖と言って良い体験をした)

  • 満足度★★★★★

     必見!! 華5つ☆。
     ペシェクさんは3回目の来日だが、自分は初めて拝見した。字幕無しのポーランド語上演だが、内容を予め知っておきたい人は早目に行って200円でシナリオを買って読んでおくのも良かろう。自分はお勧めしないが。
     というのも、田村 隆一ではないが「言葉なんか覚えるんじゃなかった」と思えるほど本質がビンビン伝わってくるし、こちらの観る目とイマジネーション、論理的思考さえあれば、本質は簡単に掴めるからである。終演後ペシェックさんご自身の作品解説を聴き、全く本質的に自分の解釈と一致していたので嬉しいと思えたし、観客としてみえていたポーランドの方と話をし、自分が作品に感じたことを説明すると、ポーランドの方々も自分の解釈と本質的に同じ解釈をする方が多いという話であった。無論、ポーランド語で洒落を言っている部分などの面白さは自分には分からなかったが、兎に角、引き込まれて楽しめると同時に非常に哲学的な側面もあって本質的である。必見の舞台! 7月6日、7日は14時開演。たった1000円でこの素晴らしい舞台を観ることが出来る。
     無論、自分がこんなに容易く作品の本質を掴めたのは、ペシェックさんのずば抜けた表現能力のせいである。名優の演技を心行くまで楽しめる舞台である。6日も行ければ行くので、更なる文章はのちほど。

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  1. 両国のシアターXでヤン・ペシェクの一人芝居「存在しないが存在可能な 楽器俳優のためのシナリオ」を見る。ポーランド語のみで上演された芝居なのに状況が伝わってくるし、面白い。1時間があっという間だった。素晴らしかった。

    5年以上前

  2. 今日、ヤン・ぺシェクの一人芝居「存在しないが存在可能な 楽器俳優のためのシナリオ」を見ました。ポーランド語は分かりませんが、洗練されたメリハリのある動きが素晴らしかった。不思議な事に感動している自分に気が付く。<俳優は楽器なのだと言う>

    5年以上前

  3. ヤン・ペシェク『存在しないが存在可能な楽器俳優のためのシナリオ』ひとり芝居をシアターカイで見た。劇中はポーランド語だったので終演後に翻訳台本を買ったが芸術家の在り方の難しさを講義するシチュエーション。芝居向きでない台本もやり方を工… https://t.co/vY9b0rVNKT

    5年以上前

  4. 「存在しないが存在可能な楽器俳優のためのシナリオ」 モノに翻弄されるよう翻弄されまいと振る舞うようにおじさん(年齢的にはおじいさん)が舞台を縦横無尽に戯れる。だんだんモノが起こす事象に目がいくようになる感じが面白い、というかポーランドっぽい?

    5年以上前

  5. ヤン・ペシェク一人芝居『存在しないが存在可能な楽器俳優のためのシナリオ』を見ました。

    5年以上前

  6. ヤン・ペシェク『存在しないが存在可能な楽器俳優のためのシナリオ』@シアターX。現代芸術を論じながらのペシェクの挙動は「芸術」の正反対のように見えるが、ピンポン玉は現代音楽に登場するし、立ち小便≒便器は現代美術史に欠かせないし、周到… https://t.co/YF6CXLCe5i

    5年以上前

  7. 今日は両国のシアターXカイで、ヤン・ペシェク一人芝居『存在しないが存在可能な楽器俳優のためのシナリオ』観劇。原作は、現代音楽の作曲家で7月1日に亡くなったボグスワフ・シャフェル。現代芸術を批判する台詞はポーランド語でわからないが、… https://t.co/rBr91lpj0l

    5年以上前

  8. ボグスワフ・シャフェル(Bogusław Schaeffer 作) 『存在しないが 存在可能な 楽器俳優のためのシナリオ』 ヤン・ペシェク(Jan Peszek)氏による名演。役者だけでなく作曲家/演奏家にも観てほしいと思った。… https://t.co/cB1bjWbgie

    5年以上前

  9. ポーランド🇵🇱の名優、Jan Peszek(ヤン・ペシェク)氏の一人芝居が素晴らしかった! 『存在しないが 存在可能な 楽器俳優のためのシナリオ』@両国シアターΧ 明日7/7千穐楽マチネ公演はまだ良席あるそうです。 七夕の明日、昼… https://t.co/DhnkhrQ36k

    5年以上前

  10. 今夜、両国シアターXにて、ヤン・ペシェク氏による一人芝居を観た。 『存在しないが存在可能な楽器俳優のためのシナリオ』 字幕なしの一時間。とても豊かな空間と身体。ポーランドの前衛魂を浴びながら、黒沢美香のソロダンス薔薇の人を思い… https://t.co/SRYQwNZSaf

    5年以上前

  11. 両国シアターΧでヤン・ペシェクの一人芝居『存在しないが存在可能な楽器俳優のためのシナリオ』。現代芸術論を真顔で講義しながら、その文脈から切り離されたスラップスティックな仕草や破壊行動で様々な音を現出。主題と目的は舞台に生まれる音それ自体なのだ。「楽器俳優」なる概念が腑に落ちた。

    5年以上前

  12. 両国・シアターχなう。これからヤン・ペシェク一人芝居「存在しないが 存在可能な 楽器俳優のためのシナリオ」を観ます。 https://t.co/PrIjBXNAOO

    5年以上前

  13. お見逃しなく! 7月1日逝去した世界的前衛作曲家ボグスワフ・シャフェルBogusław Schaeffer 作 『存在しないが 存在可能な 楽器俳優のためのシナリオ』 この作品の第一人者ヤン・ペシェクJan Peszek 7月5… https://t.co/KFwb2WNTGv

    5年以上前

  14. 行くかどうしようか…→日本/ポーランド国交樹立100年記念演劇公演ヤン・ペシェク一人芝居 『存在しないが 存在可能な 楽器俳優のため のシナリオ』 痛烈に 芸術や権威を批判!……しながらのその お遊びぶりって何ナノでしょうか ?!… https://t.co/FNZRkdY6dJ

    5年以上前

  15. 皆さんに是非見ていただきたいです! 一人芝居『存在しないが 存在可能な 楽器俳優のため のシナリオ』 作:ボグスワフ・シャフェル(前衛作曲家) 出演 :ヤン・ペシェク(ポーランドの名優、国立演劇大学教授) 7月5日(金)19:0… https://t.co/p91QK9VPEB

    5年以上前

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