いつもお世話になっております。『本読み会』です。
(『本読み会』は、東京都を中心に活動を続ける戯曲の読書会です。戯曲をひとりで黙読するのではなく、大勢で声に出しながら読める場を作ろうと、2004年に設立されました。詳細はホームページ
http://honyomikai.net
をご覧ください。)
次回の開催情報をお知らせいたします。
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2020年東京オリンピック開催に便乗し、ギリシャ古典劇とギリシャ劇翻案作品を一年間かけて読んでいこうというシリーズ企画『オリンピックだよ!ギリシャ劇集合』。
シリーズ第四弾となる今回は、シリーズ唯一のギリシャ“喜劇”作品、アリストパネスの傑作『女の平和』を扱います!
第85.5回『こっそり本読み会/アリストパネス』
■作家
アリストパネス
■作品
『女の平和』
翻訳:戸部順一訳(西洋比較演劇研究会編『ベスト・プレイズ』収録)
※女の平和はいくつか翻訳が出版されていますが、今回は上記『ベスト・プレイズ』に収録されているものを使用したいと思います。代表的な西洋戯曲が多数収録されていて、大変お買い得な戯曲集です。
他の翻訳しか手に入らなかったという方は、どうぞそちらをお持ちください。いくつかの翻訳が入り乱れての本読みも、そんなに悪いものでもありませんので。
■日時
2020年4月4日(土)17:30~21:30
■場所
都内・文京区周辺
※詳細は参加者に個別にご連絡差し上げます。
■参加費
諸経費として、お一人様500円(学生さんは無料)
※『本読み会』は、戯曲・演劇に興味を持つ若手を応援しています。学割として無料でご案内いたします。
■作品について
古代ギリシャ劇と言った場合、そのほとんどはギリシャ“悲劇”のことを指しておりますが、もちろん古代ギリシャの人たちだって、悲しんでばかりいた訳ではありません!
古代ギリシャにも、しっかり喜劇はありました。“ありました”どころの話ではありません、都市の祝祭大ディオニソス祭では、悲劇のコンテストに勝るとも劣らない規模で、喜劇のコンテストも行われており、しかもそれらの作品は、辛辣な風刺に併せて、猥雑さ猥褻さをも持ち合わせたという大変豊かなものだったのです。
アリストパネスは、紀元前400年前後に活躍した大喜劇詩人。代表作には、『女の平和』のほか、ソクラテスらソフィストを痛烈に批判した『雲』や、劇作家アイスキュロスとエウリピデスがお互いの批判合戦をするという『蛙』といった作品があります。テーマの選び方だけでもその面白さが伝わってきますね。
『女の平和』は、長引く戦争に怒った女性たちが、一致団結してセックス・ストライキを行うことで、男性らに戦争続行を諦めさせるというお色気反戦劇。実におバカな発想の卑猥な劇ですが、それだけで終わらないのがギリシャ古典喜劇の実力です。
当時のアテナイは非常に血気盛んで好戦的な都市でした。『女の平和』が書かれたのは、ちょうどシシリアへの無謀な遠征によって、第一次ペロポネソス戦争が10年かけてようやく辿り着いた仮初めの和平が破られた後のこと。
戦争には一貫して反対の立場を取り、為政者にも遠慮することなく批判を繰り広げたアリストパネスは、シシリア遠征と、それを支持した市民らに黙ってはいられなかったのでしょう。滑稽な喜劇の仮面をめくってみると、その下には市民らを告発する批判と憤りが書き込まれています。
当日は難しいことは言わず、ワイワイがやがや、卑猥なセリフを存分に味わえればと思いますが、古代ギリシャの市民らが、この劇を見て何を思ったか、何を感じたか、それを想像してみるのもなかなか面白そうだと思います。
皆さまのご参加、心よりお待ちしております!
■こっそり『本読み会』とは・・・?
『本読み会』の主宰二人のスケジュールの都合で、『本読み会』の開催は年6〜7回が限界です。ですが、もっとこっそりと、個人的なサロン活動としてなら、戯曲を読む会を開催することは、そんなに難しいことではありません。
こっそり『本読み会』は、公式開催だけでは扱いきれない、でも声に出して読んでみたい!そんな作品を、主宰大野が個人的に選んで、こっそり開催する『本読み会』です。
松山がいない分、運営・進行力が落ちています(笑)。普段の回ほどサポートすることができませんので、できれば当日は大野も一参加者となって、皆さんと一緒に会を作っていければと思っています。よろしくお願いいたします!
■おねがい
『本読み会』は、皆様と戯曲の出会いを大切に考えております。図書館やインターネット等を利用し、戯曲はご自身で入手していただければ幸いです。(当ホームページの「戯曲の探し方」もご参照下さい。)
しかも今回は“こっそり”回、普段なら、どうしても戯曲が手に入らないという方には、こちらで当日テキストのコピーをご用意しておりますが、テキストの準備に割くマンパワーが不足しております・・・。
ご相談には応じることは可能ですが、できる限りご自身の手で戯曲をご入手いただければと思います。
作品を事前に読んでくるかどうかは、参加者の皆様にお任せしております。事前に一度目を通しておくと、物語の流れや構造を落ち着いて味わうことができます。読まずに参加した場合は、物語の展開をハラハラドキドキ楽しむことができます。ご自由にお楽しみください。
■定員について
参加者一人ひとりがしっかりとセリフを読めるよう、毎回定員を設定しております。(定員数は戯曲によって変動いたします。)
申し込み多数の場合には、見学でのご参加をご案内させていただきます。
■参加申し込み/お問い合わせ
『本読み会』
ホームページ
http://honyomikai.net
メールアドレス
info@honyomikai.net
■『本読み会』について
『本読み会』は、約2ヶ月に一度のペースで開催されており、毎回参加者を一般から広く募っています。
(定期的なご参加を希望される方には、開催情報をお知らせするメールマガジンへのご登録をお勧めしています。)
また、講師を招いてのワークショップや講演会などの企画、有志による上演活動なども行って参りました。
『本読み会』は、「戯曲を声に出して読む」といういたってシンプルな、しかし本質的な演劇・文化活動を行っています。
しかし全く堅苦しい会ではありませんので、どうぞお気軽にご参加下さい。
皆さまのご参加をお待ちしております。
それでは。
『本読み会』
大野遙