様々な芸術領域を横断し、近年はベケットや金時鐘、司辻󠄀有香など先鋭的かつ周縁的な作家の言葉をミニマリスティックにストイックに、かつ大胆な切り口で演出してきた木村悠介が、初めてシェイクスピアに挑戦します。
シェイクスピア四大悲劇のひとつ『ハムレット』から主人公ハムレットと、たった2人の女性登場人物、オフィーリアとガートルードを抜き出し、独自の翻案でフェミニズム/ポスト・フェミニズム的視点から、現代を生きる全ての〈女たち〉に共鳴する新たな『ハムレット』を描き出します。
そしてこの度、本作『ハムレットの女たち』のクリエーションに参加する出演者を募集します。様々な個性が集結した創作プロセスを通して、演劇史と現代社会に呼応する刺激的な作品を共に作り上げましょう。
《募集内容》
・ハムレット、オフィーリア、ガートルードのいずれかを演じる出演者3名。
・セクシャリティ、ジェンダー、年齢、身体能力、経験不問。
・演出の意図を汲みつつ積極的な意見やアイデアの提起など共同作業に取り組んでいただける方。
・ハムレット役を演じる出演者を含め、「女たち」という呼称を許容できる方。
・9〜10月の稽古と本番に参加できる方。(詳細は公演概要をご参照ください)
・出演料は18万円お支払いします。(交通費など必要経費込み。源泉徴収なし。チケット収入が予定額を一定程度上回った場合、相応の追加報酬あり。)
※芸能事務所や劇団などに所属している⽅は、各所の了承を得た上でご応募ください。
※18歳未満の⽅は、保護者の了承を得た上でご応募ください。
※可能な限り公演参加者の報酬額を向上させるため、小さな座組で公演を実施します。そのため出演者としての役務だけではなく、設営や撤去作業などへの協力もお願いします。
※チケットノルマはありませんが、広報への積極的な協力を期待します。
《公演概要》
木村悠介 新作公演 『ハムレットの女たち』
2024年10月4日(金)〜6日(日) 3日間4回公演
会場:SCOOL(三鷹)
稽古スケジュール:
2024年 8月 読み合わせ(オンライン) 計5時間程度
9月 稽古(杉並区または練馬区公共施設など)計80時間程度
※稽古日時は各出演者の都合に合わせ調整します。
小屋入り期間:2024年10月2日(水)〜6日(日)
原作:ウィリアム・シェイクスピア『ハムレット』
翻案・演出:木村悠介
出演:オープンコールで選ばれた3名(役名:ハムレット、オフィーリア、ガートルード)
制作:金井美希
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[スタートアップ助成]
主催:&Co.
《応募方法》
下記のリンクから応募フォームに必要事項や資料を記入・アップロードしてください。応募締切は2024年6月10日(月)23:59です。選考の上、必要に応じてオンラインでの面談などを行い、7月上旬までに全応募者に結果をご連絡いたします。
応募フォーム:https://forms.gle/7pHyPPhXJMNP5Eiq8
《お問い合わせ》
&Co.
E-mail: info@and-co.org
Web: https://and-co.org/
『ハムレットの女たち』にむけて ― 木村悠介
友人から「シェイクスピアとかやってみたら」と言われ、その提案があまりに意外すぎて、これまで全く考えてこなかったシェイクスピア作品に今回、挑戦します。率直に言って、僕はシェイクスピア作品に魅力を感じてきませんでした。同じ古典でもギリシア悲劇の泥臭さの方に関心があるし、日本の古典劇も、現代に生きる自分にとっての他者として面白さを感じます。チェーホフも好きです。でも、シェイクスピアは...。このシェイクスピア嫌いと言っても良い自分に、どんなことができるだろう?
そう考えた時に生まれたアイデアが『ハムレットの女たち』です。シェイクスピアを使って、シェイクスピアを批判する。それなら僕がやる価値があると思いました。そしてこの挑戦に参加し、創作を共にしてくださる出演者を募ります。僕もバイですが、できればいろんなセクシャリティ、ジェンダー、年齢、身体能力の方と一緒にできると嬉しいです。ただハムレット役を演じる方含め、ご自身の性自認はどうあれ、カギ括弧付きの「女たち」と呼ばれるのを許容できることを条件にさせてください。これは、僕のシェイクスピアへの反感を逆手に取って、シェイクスピアをひっくり返すための大事なコンセプトです。そして皆さんにとってのシェイクスピアやハムレット、そして、今を生きるリアルな感覚について教えてください。俳優としての経験がない方も大歓迎です。この『ハムレットの女たち』に参加してみたいと思えたなら、どなたでもぜひご応募ください。皆様のご応募を心よりお待ちしています。
木村悠介 KIMURA Yusuke
演出家、パフォーマー、「&Co.」代表、「gallop」共同代表。
舞台芸術を中心に領域横断的に活動し、<自他境界の撹乱>を通底するテーマに作品を発表。京都造形芸術大学で舞台芸術と映像芸術を、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)でメディア・アートを学び、2012年に渡独。ベルリン芸術大学 (UdK Berlin) 所属 Hochschulübergreifende Zentrum Tanz Berlin(HZT Berlin) 修士課程 Solo/Dance/Authorship (MA SODA)で身体を表現の基軸に据えたソロ・アーティストとしての教育を受ける。2016年に帰国。2021年に始動した長期プロジェクト「罵倒の作法」のスタートアップ・リサーチが京都芸術大学 舞台芸術研究センター 文部科学省認定「舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点」2021年度リサーチ支援型公募研究に採択。またパフォーマンス・グループ「gallop」では他3名との特定のリーダーを持たない共同演出による作品制作を行う。
&Co.
舞台芸術を中心に領域横断的に活動してきた木村悠介が特定の個人名に集約されない多様な才能が行き交う場として2022年に設立。木村の長期プロジェクト『罵倒の作法』の企画制作を引き継ぎ、世界中を飛び交う罵詈雑言や攻撃性に対抗するリサーチやクリエイションを展開する。演劇、ダンス、現代美術、メディア・アートなど、様々な芸術領域を横断しつつ、芸術や社会、テクノロジーなどの歴史的文脈を見据え、現代社会やそこに生きる個人の内的な思考や感情、感覚を深く掘り下げ、鋭利な批評性や大胆なオルタナティヴを示し、既存の価値観や倫理観、社会への問題提起を行う。
【ハラスメント防止のための取り組み】
創作における互いの役割を尊重しつつ、対等な関係性を保ち、対話による合意に基づいた環境作りに努めます。